同期が「ベルリンの壁」と呼んだ私は、チャラそうな店長に心を開いた

私の行きつけのお店。
ここでは、仮にI(アイ)と呼びたいと思う。
ちなみに一期一会が店名の由来らしい。
初めて訪れてから、もう5年ほどになるだろうか。
きっかけは、大学時代の親友と食事をしたことだった。
数年ぶりの再会に選んだお店がIだった。
基本的に、一度行った飲食店を再び訪れることは今までなかった。
入ったときからあった緊張感。
おしゃれ過ぎて自分には場違い。
店長さんも何かチャラそう。
当時は、来るのはこれきりだろうなと思っていた。
でも、それから親友と定期的に会うために訪れるようになった。
親友の職場からすぐの場所だったこともあり、会いやすいからという理由もあった。
もちろん、それだけではない。
料理がリーズナブルで美味しい。
特に、フレンチフライがお気に入り。
カリフワ食感がクセになる。
今でも親友と、必ず一番最初に注文する。
また、店長さんと話すたび、彼がいい人だと思えるようになった。
気づいたら常連になっていて、そのうち一人でも行くようになった。
前職の会社に入りたての頃、私は同期の友人から「ベルリンの壁」「万里の長城」と言われたことがあった。
分厚くて険しくて、時間をかけて突破しなければならない心の壁。
なかなか周りに心を開かず、近寄りがたい存在だと思われていたらしい。
コミュニケーションがあまり得意ではなかったこともある。
でも、やはり一番は、地元での人間関係がトラウマで、他人を簡単には信じられないのが原因かもしれない。
そんな私だったけれど、親友がいないときでも店長さんとは普通に話せるようになった。
仕事のことをよく話すけれど、個人的なことも結構話している気がする。
今では、冗談を言って笑い合えるほど。
男性は会話の中で少年に戻ってしまうことがあるので、それに同じく店長さんもたまに下ネタを言う。
以前は、他の男性が話しているのを聞いて、私は「汚らわしい」と、あからさまに不快感を示してしまうほどだった。
でも、店長さんが言っているときは何故か「汚い」とは思わなくなった。
きっと、私は心を開いているんだと思う。
店長さんのことを知っていくたびに、温かい人だと感じる。
私にとって、大切な人の一人だと思えるほどになった。
時間をかけて知り合っていくことで、相手のことが分かっていく。
一部分だけで判断してしまうのはダメだと気づくことができた。
Nさん(店長)、最初「チャラそう」「仲良くなれなそう」なんて思っていて、本当にごめんなさい(笑)
さすがに家にいるみたいにゴロゴロはできないけれど、Iにいるとゆっくり寛げて安心感を覚える。
店内はすごく広いわけでもなく、隣のテーブルときちんと分けられているので、自分の部屋にいるみたいで落ち着く。
IBS(過敏性腸症候群)の症状でお腹が痛くなっても、すぐにお手洗いに行けるので、そういった意味でも安心できる。
他のお店にいるときとは違って、かなりフリーダムな過ごし方をしている。
黙々と数時間、お店の装飾を作って過ごしたこともある。
この前は別のお客さんの子どもがイタズラして壊れてしまった、注文用の小さいハンドベルを私が15~20分かけて直した。
普通のお店だったら、お客さんはこんなことをしないだろう。
色んな意味で、Iは特別なお店。
常連さんやバイトさんとも仲良くなれたし、ここに来るだけで楽しいと思える。
親友のおかげでできた、行きつけのお店。
私にとって、とても大切な場所。
ずっと通えたら嬉しいなと思う。
お店や店長さんとの一期一会を、これからも大事にしていきたい。
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