私がずっと待っているもの、それは彼氏と私が共に暮らすための方法だ。暮らしたければ、物件でも探して暮らせばいい、と思うかもしれないがそう簡単にはいかない。それは、私が日本に住む日本人で、彼氏が韓国に住む韓国人だからである。

付き合い始めて四年、ずっと遠距離恋愛をしている。韓国と日本で。約束をして二人で会う時を除けば、住んでいる国がそもそも違うのである私達が同じ国にいることはないのだ

◎          ◎

出会ったのは彼氏が日本へ旅行中の時だった。付き合うことになったのは、彼氏が帰国してから。遠距離恋愛になるのはわかった上で、付き合うことを決めた。

遠距離恋愛は無理、という人がいる。皆無理だ。したい人などいないと思う。私だって出来ることならしたくはない。環境がそうさせているだけだ。でも、好きになってしまったから仕方ないのだ。たまたま好きになった人が、違う国に住んでいた、という話だ。だが、それが重くのしかかる。

幸か不幸か、二人ともそこまで結婚願望がない。私よりおそらく彼氏の方がない、ように感じられる。以前、結婚する意味が分からない、と言っていた。私はこの主張には共感出来なかったが、この人はそういう考えなのだなと思った。

彼氏からもし今、プロポーズをされても正直困惑すると思う。それくらい、私にとって結婚というのは身近なものとして実感がない。

◎          ◎

だが、一緒に暮らせたらいいな、とは思う。あくまでも仮定の話だ。もはや空想に近い、絵に描いた餅。 一緒に暮らすと考えた時に、まずどこの国に住むのかという問題がある。というより、そこが一番の障害に近い。

もし日本に住む場合、私は特に何も変わらない。だが、彼氏が日本に住むとなると、仕事を辞めなくてはいけない。テレワークは出来る企業に今いるとはいえ、それがメインの働き方ではないからだ。だから、日本で働くことになる。

彼氏は日本語はある程度話せるが、外国語で働くというのは日常会話をするのとは、わけが違うだろう。私と日本で住むために、仕事を辞めて来てくれ、とまではさすがに言えない。かといって、私が養う、と言えるほどの給料でもない。

逆も然りである。もし、韓国に住む場合だ。私が韓国に行くことになる。韓国語は、聞き取りも話すことも少ししか出来ない。それは自分で勉強すればいいとして、仕事である。仕事を辞めて韓国に住む、という選択は今の私には出来ない。テレワークが出来る仕事でもないし、辞めるという選択が出来るほどの潔さは私にはない。そこまでのことは出来ない。

また、それは韓国に住む、ということに関しても同じように言える。日本ではない外国に住むこと。そう簡単に決心出来ない。一時的に、短期間であれば外国に住んでみたいな、とは思う。あくまでも一時的に、だ。

◎          ◎

こういった理由で、私達は簡単には同じ国に住むことが出来ない。だから、全ての障害をとっぱらった状態で、クリアになった状態で一緒に住むことが出来たらいいのにな、と思っている。

さっき、たまたま彼氏と電話をした。きちんと話をしたことはなかったが、なんだかんだ色々と考えてくれているらしい。明確に、日本に住む、という回答を得たわけではないが、それに近いものを感じられた。

魔法などないけれど、問題を一つずつ解決していけば、少しずつ待っているものに近づけるかもしれない。待ちわびてさえいるものに。