「君だけを一生幸せにする」

「君の笑顔が一番好きだ」

君の“だけ”とか“一番”好きとか、そういう限定表現みたいな言葉をずっと待っている私がいる。あと、君“しか”いないとか。

私が限定表現に固執する理由はただ一つ。愛する人に“一番”愛されたいからだ。でも私のような人間が“一番”愛されたいと思うことは贅沢な願いなのだろうか。

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私の恋人はポリアモリーである。

合意の上で私以外に複数のパートナーをもつ。“合意の上”だから、私も了承しているのだが何処か複雑な気持ちになることが多々ある。

彼には“一番愛する人”がいないのだ。

もちろん、私の恋人はとても可愛い(?)。私は恋人が好きだし、恋人だって私のことが大好きだ。時々、お互いの嫌な部分がぶつかって、大喧嘩をすることもあるが翌日には二人共ケロッとしている。

いざこざも起こるが、それでも私も恋人もお互いを想い合っている。

恋人は既婚者なので、私と一緒に過ごすことができないが、仕事がカツカツなときも時間を作ってくれる。

仕事のついででもなんでもないのに10分だけ話すために往復3時間かけて私の元へ来たこともある。

「LINEで話せばいいのに」と冷たくあしらう私に、「少しでもいいから直接顔を見たかったんだよ」とニッコリ笑う恋人。

私にはもったいないほど素敵な恋人だ。

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恋人は少しでも時間があれば、その時間を私に費やす。一緒に過ごすことができない分、夜にLINEをしてくれる。私が寂しくならないように面白い写真を送ってくれる。

「奥さんや他のパートナーは大丈夫なの?」と不安になってしまうぐらい、私に色々してくれる。でも恋人にとって、私に尽くすことは当たり前なことらしい。

他人の恋愛を聞いたことはあまり無いが、恋人が“既婚者”でなければ普通のカップルと同じように接しているように見える気がする。

「こんなに私は愛されている」

そう思ったとしても、何処か不安になってしまう。

「私は複数人のうちの一人でしかないのに」

そんな言葉が頭をよぎる。

しかも私は嫉妬心が強いので、恋人が元カノの話をしようものならカミツキガメみたいに凶暴化する。奥さんや他のパートナーとの話も内容に依っては話を聞いただけで暴走してしまう。

「それが君らしくていい」と恋人は言うけれども、私は嫉妬でカミツキガメにはなりたくない。恋人を傷つけるような行動は決してとりたくはないのだ。

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「嘘でもいいから『君が“一番”だよ』って言ってくれれば、それだけで安心できるのに」

そんな本音を言いたいけれど、絶対に言えない。

そんなことを言う資格は私にはない。

でも私だって“一番”愛されたい。“一番”大切にされたい。“一番”必要とされたい。

心の平安がほしい。嫉妬で煮えたぎるような思いはしたくない。

だから、“一番”って言ってくれたらいいのに。

“一番”に固執してしまう私はおかしいのだろうか。いけないことをしているのだろうか。

このもやもやする気持ちを一体、どのように処理すればいいのだろうか。

今の私はまだ決断を下せないままだ。