デンマークに行きたい。

小学生の頃に読んだ本に出てきた緑の多い国。

おしゃれ女子が好む北欧に位置する芸術の国。

私が憧れてやまないデンマーク。

言霊を信じて数えきれないくらい口に出したデンマーク。

みんなになんでデンマークなの?と、言われながらも憧れ続けるデンマーク。

◎          ◎

働くためにワーキングホリデービザを取り、航空券まで買った。

"人生を変えてやるんだ"

そう意気込んでいた2022年大晦日は何故か実家で過ごし、私は今も同じ場所にいる。

日本を離れて変えたかったのに、 自分の嫌いな部分のせいで日本から離れることが出来ず、憂鬱な時間を過ごした。

そうこうしてる間にも一年しかないビザの期限はどんどん減っていく。

それでも行きたいという気持ちが減ることはなく、就職じゃなく旅行にしようそうやって目標を下げた。

働くよりも心のハードルも、金銭的なハードルも、大分低くなる。

それなのに良くならない体調のせいで、 外に出れる気配すらなく、ただ朝が来て夜が来て、また朝が来て。

あぁ・・・

SNSを見て、海外留学や海外旅行へ飛び回る友人達に、両親の収入やパートナーのスペック、そして何より自分の体調と恨めそうなものに全て文句を言っても、結局残るのは自分自身の不甲斐なさ。

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そんな自分に見切りがついたというか、 諦めがついたのか10月のこと。

体調も少しだけ良くなり、外に出れる時に日雇い労働を始めた。

「人生思い通りにいかないこともある」。

良くも悪くもそう思えるようになった私は全てを諦め、同時に就職活動も始めた。

こだわりを捨てれば早いもので、就職活動はサクッと決まり、自分が満足いけばそこで働こうかなあというところ。

"諦めれば人生イージーモードじゃん"

100点ではないけれど0点でもない現実に大満足ではないけれど、それとなく納得して、人生の新しいステージに進もうとしていた。

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そんな気持ちは思いの外簡単に崩れた。

11月になって少し経った頃、一件のメッセージが来た。

仕事で世界を飛び回る友人が、デンマークに行くらしく、「よかったらご飯でもどう?」というお誘いだった。

友人に最後に会ったのは去年の末で、丁度私が「やっとデンマークに行けるんだ」と、フィーバーしている時だった。

事情を話し、今日本にいることを伝えると、「そっかあ、残念だったね」

そんな返信が来た数日後、「少しでも気分を味わって」と、写真を送ってくれた。

カラフルな街並み、平坦な道、中心部にも関わらず人の少ない駅。

私が憧れていた景色達。

教科書やパンフレットで見るよりも、うんとリアルで、ずっと美しかった。

見た瞬間に悔しいやら悲しいやら優しさに感動やらでしばらく涙が止まらなかった。

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大袈裟かもしれないけれど、

このままじゃ終われない

頑張って働いて、なんとしてでも今年のうちに、憧れの街に一歩踏み入れてやるんだ。