最近、介護士を目指す子が多い、と個人的に思う。私が子どもの頃なんかは、自分はもちろん、同級生だって「将来は介護士になる!」なんて言っている子はいなかった。同業でも保育士のほうが圧倒的に人気だった。

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時代の流れだろうか。少子高齢化が進んで子どもたちよりも遥かに高齢者層が多くなってきて、今では幼稚園よりもデイサービスや施設のほうをよく見かける。将来的にも保育士免許より介護資格のほうが役に立ちそうだ。

しかし、私は介護に向いていない人間だと思う。いや、向いていない人間だ。

中学生の頃、福祉体験と称して地元の介護施設で働いてみるプログラムがあった。クラスメイトといくつかのグループに分かれて、お年寄りと遊んだりお世話をするのだ。

たった一日、しかも授業の中でそれなりに学んで十分な対策は練って行った。が、それを遥かに上回るお年寄りの奇天烈な言動に圧倒された。

私の祖父母は未だに現役で働いている。父方も母方も、誰もボケておらず施設にも入っていない。だから世のおじいちゃんおばあちゃんはそれが普通だと思っていたのだ。

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まず言うことを聞いてくれない。ちょっとしたレクリエーションをするために手を繋がなければならない瞬間があったのだが、なぜかものすごい力で拒まれる。施設の職員さんからは「これが普通だから気にしないでね、手首掴んでいいよ」と言われたが、初対面のお年寄りとの距離に狼狽えている以上、おいそれと触れられなかった。

そしてただのお喋り一つ取っても、何を言っているか分からない。利用者さんとお話をしようということになったのだが、支離滅裂で何の話なのか分からないことが多かった。加えて話のリピート率が高め。同じ話をまるで初めて話したかのように語る。

40年前に自転車に轢かれた話。5回くらい聞いた。グループが一緒だったある男の子が、それでも毎度毎度初めて聞いたかのように「へー!そうなんですね!(5回目)」とリアクションを取るのを尊敬の眼差しで見ていた。私は2回で限界だった。

だから介護士・福祉関係の道に進む人や、実際に働かれている人は無条件に尊敬する。優しさだけではできない仕事である。もっとお給料を上げてあげて欲しいとさえ思う。

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高齢者をバカにしているわけではないということは理解してほしい。いずれ自分もそうなると思い、日々おじいちゃんおばあちゃんと接している。老いるということは素晴らしいことだ。それだけ人生の年輪を刻んできたということなのだから。

そんなわけで「私介護向いてないんだよね〜」と母に伝えたところ、「私あんたに介護してもらう気満々だったんだけど」と言われた。認知症になる可能性も視野に入れといてね、とまで。

今年の母への誕生日プレゼントはジグソーパズルにしよう。実の母なので、いざとなればさすがに私も介護するだろうが、リスクヘッジは必要不可欠。今から認知症予防に頭の体操を存分にしていただきたい。