毎度思うことなのだが、現場は新参者に対しての準備を怠ってはいけない。

私はよく新天地に出向くことがある。学生時代にまで遡れば、高校で地元の子たちと違うところに進学し、一人で上京して東京の大学に入った。就活して社会人になり、マーケティング会社に入社するも、半年ほどで退職して大学図書館に勤務する。そこも有期雇用派遣で雇用期間満了で退職し、商社に入社するもまたも半年で辞めた。そして今、また就職活動中である。

高校、大学、会社×3。経験してきたバイトは5つ。恐らく同年代の子たちに比べて新しい現場に出向くことが多い私。就職活動中にはよく単発バイトにも入っていたので、それも含めると結構行動力があるタイプである。

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そんな私が直近の単発バイトで改めて思ったことなのだが、現場というのは新参者に対してある程度の包容力があるべきなのではないか、ということだ。詳しく話そう。

アパレルのバックヤード業務に単発で入った。私は学生時代に飲食の経験はあったものの、アパレルに関わったことはなかったのだが、単発バイトというのは、試験監督や軽作業といった誰でもできるような仕事がほとんどだ。それゆえに初心者大歓迎というのがメリットである。

その認識でお店に向かった私だが、7時50分にいて一番乗りだった。え?と慌てて派遣の詳細メールを見るが8時集合で間違っていない。お店は鍵すら開いておらず待ちぼうけをくらう。

8時ぎりぎりにようやく店長が来て、鍵を開けたので「単発のバックヤード業務できました、(苗字)です」と名乗ると「え、単発?」と言われた。

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大抵の単発バイトは、求職者が人材会社に登録してそこから現場に派遣されるというシステムで成り立っている。今回もそれだったのだが、どうやら人材会社と現場とで連携が取れていないらしい。私が来たことに驚きを見せた店長に一気に不安感が増す。

とはいえ、募集を出していたのはお店側である。私を中に入れてくれたのだが、またも引っかかることが。

「アパレルの経験は?」

「ないです」

「おっと、まじか」

ここまでくるとこの店長に問題があるような気もするが、初心者大歓迎の単発バイトでのこの発言に嫌な気持ちになった。

淡々と語ってはいるが、私だって新天地に出向くのに平気なわけがない。それなりに緊張だってするし、大丈夫かな?とソワソワしつつ行っているのだ。それを最初から刺激してくるような態度に一気に帰りたくなった。

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「バックヤードで服をハンガーにかけてもらいます。コレとコレ、お願いします」

とりあえず仕事は教えてくれたのだが、バックヤードで一人きりにされた私は最初に任された仕事を早々と終えてしまい、次の指示が欲しかった。しかしバックヤードから出てはいけないため、聞く人もいない。何をすればいいかもわからずに一人でいる時間は惨めだった。

少なからず初めてで緊張している人間を、一人で放置してしまう環境はいかがなものか。誰しもが皆、最初は初心者。現場責任者も、初出勤した日の不安感や緊張感を忘れているが故に雑さが出てしまうのだろう。

たかが単発バイトだし、こちらもお金をいただいている身なので手厚くもてなす必要はない。が、どこの現場も新人さんには、最低限の受け入れ態勢くらいは整えていてほしいものである。