生まれてこの方、関東地方のとある県にずっと住み続けている。両親が私を育てるために東北から移住してきた。

都内に居を構えている方からすると、地方といえば仕事の少なさや給料が安いこと、娯楽が少ない、交通手段が少なく車を所有していないと利便性が悪いなど、環境についてのマイナスイメージがまず挙げられそう。

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パーソル総合研究所が2021年に行った「地方移住に関する実態調査」では、テレワークによって働く場所に制約がなくなったことで都市圏就業者が地方移住への関心を高めたということが分かっている。

調査結果からは、地方移住を検討しているものの「不安があり踏み切れない」と回答する人が51.3%と半数を超えたらしい。

ずっと地方に住んでいる身として、一歩踏み切ってもらえない理由はどこにあるのか、改めて見つめ直してみた。

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心理学者アブラハム・マズローの欲求5段階説という有名な理論がある。よくインターネットで目にするという人も多そう。

下からピラミッド型になっている。1段階目に生理的欲求(食欲、性欲、睡眠欲、排泄欲など)、2段階目に安全の欲求(心身の健康、経済的安定性)、 3段階目に社会的欲求(社会帰属欲求、愛情欲求)、4段階目に承認欲求(他者から認められたいという欲)、5段階目に自己実現の欲求(自分が満足できる自分になりたいという願望)、 6段階目に晩年マズローが唱えたと言われる自己超越欲求(自分のエゴを越えて社会そのものをよくしようとする理想、ボランティア精神)がある。

データがないので詳しい数値は出せないものの、体感としては地方に住んでいても4段階目まではある程度は満たせる傾向にあるなと思う。

ただ、地域によっては大雪や噴火など自然の脅威を身近に感じる環境で安全欲求が満たしにくい場合もあるので、一概には言えない。

5段階目から上を満たしたいとなると、急にハードルが爆上がりする。

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「自分が満足できる自分」というのは人によって違う。
目指すレベルも満足できる状態も違うから、一概には言えない。

ただ何か夢や志があってそれを叶えたいと思うと、学べる環境や出会える人を選択できる「幅」がある都市部に集中してしまうのは致し方ないのかもしれない。

一度都市部に住んでそれらを味わってしまうと、いくら地方が自然に囲まれていて食べ物が美味しくて人が優しくて……というメリットがたくさんあったとしても「自己満足感」を満たすのはなかなか難しいと予測する。

「『自己満足感』はいらないよ〜」、「4段階目までで全然困らないし他の要素が大事だよ〜」という人が移住してみて困ることといえば、人間関係かもしれない。

「郷に入れば郷に従え」といえばそれまでなのかもしれないが、触れてきた文化、見てきた物が違うから日々驚きと発見に満ちる可能性がある。

最初の方は新鮮で楽しいと感じるかもしれないけど。

1人で行動することが好きだったりライフスタイルに口を出されたくないという人は、都市部の方が安心して生活できると思う。
 

「ヨソモノ」「変わった人」として近所のご婦人たちの話題に上がる可能性は高め。

話しかけられることもあるだろうし、それをうまく通過できないタイプの人にはおすすめできない。気を病んでしまうと思う。

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逆に地方をおすすめできるのはどういう人かというと、「仕事以外での人との繋がりが苦にならない人」、これに尽きると思う。

世間話を楽しめて協調性があって、人の温かみに触れることで生活に潤いを感じるというタイプの人にはもってこい。

空気と水が美味しく、緑に囲まれ、食費も安く質の良い物を手に入れられる。デジタルに触れたあとは近くの山を見て目の保養も出来るので、リモートワークの人にもおすすめ。大声で歌っても日中は人が少ないからそんなに影響ない。

「感受性を育てる」という意味合いでも育児をするのには適していると思う。

私もこの環境のおかげなのか豊かすぎるとも言える感受性が育ち、鳥のさえずりに合わせて鼻歌を歌ったり、月を見て願い事をするような脳内ディズニープリンセスこどおばに成長した。

以上は個人の感覚、主張なので「地方ってこうなんだ……」と思わずに「こんな風に感じてる人が1人いる」とかる〜〜く受け流してほしい。