「彼氏ができたら自動的に幸せの量が増える」と信じた私の自己中な行動

大学1年、冬。ほんの少しの期間だけお付き合いした方がいた。
コーヒーが好きな人で、私が苦手なブラックコーヒーを好んだ。大学の講義にはコーヒーのにおいを纏わせてきたから、隣に座った時には顔を上げなくても彼が来たことが分かった。
そのときは“彼氏”という存在ができるのが初めてで、“リア充”という言葉を信じ込んで彼氏ができれば日常がキラキラと光り出し、幸せの量が増えるものだと思い込んでいた。だから私の行動はすべて相手を思ったものではなく、彼を使って自分の幸せを大きくするためのものだった。
だからふられた。
別れを切り出したのは私だったけど、ふられたのは私だと今でも思っている。
自分勝手なわがままな行為を繰り返して、本当に申し訳ないことをした。そもそも恋愛とは人間関係の種類のひとつで、人間関係は相手を中心にして考えなければならないと気付くのは随分後のことになる。
お付き合いしていた当時の行動はこんな感じ。
これらはすべて、“自分”を中心とした行動である。
“相手”を中心にした行動を心掛けるとどうだろうか。
このように振り返ると、私は、人間関係の初歩的な心構えである“相手を中心に考える”ことができていなかった。
人間関係での行動は、自分ではなく相手を始点とした行動にしなくてはならない。“自分が相手だったらどう思うか考えなさい”という、幼稚園で教わるようなことである。
でも私はそれが二十歳ごろまで出来ていなかった上に、その考え方から外れていることにすら気づかなかった。
染みついた考え方とは恐ろしいもので、この間違いに気づいて反省し二度と繰り返さないと心に決めた何年もあとでも、自分中心な行動をしているとハッと気づくことが多々ある。
その度に、あの時と同じだという後悔の念とともに、少しだけコーヒーの香りを思い出す。
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