キラキラした歌詞を生み出し、いつも華やかな衣装を身に纏い平成の女子高生たちのロールモデルとして活躍してきた浜崎あゆみさんの歌が、私は好きだ。Ayuの歌を聴くと、いつも元気になって何にでも立ち向かえるパワーが湧いてくる。毎日がときめいていくような高揚感に包まれ、踊りだしたくなるような衝動に駆られる。すべて自分自身で歌詞を書くAyuの想いに共感してしまい、歌からは物語が生み出されていくように思える。

特に「Boys&Girls」「BLUE BIRD」「MY ALL」をよく聴く私は、その歌詞に共感を抱きながら、Ayuが見た景色、「今」の想いが伝わってくる。

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「MY ALL」の歌詞で、大切な人の顔がすぐに浮かんでくる。心が折れそうなくらい学校の課題が行き詰まった時、この曲に救われながらもっと頑張れる、やってやろうじゃないかと勇気づけられた。そうすると、どんどん世界が広がっていくようで今が楽しいと思えるようになる。誰のためでもなくて自分のためだけに頑張る人生、誰かの笑顔が見たくてもっと頑張りたい、もっともっと今ある力を最大限に振り絞って新しいことに挑戦したいというAyuの強い気持ちが乗せられた歌詞たちに感銘を受けながら、言葉がもつ力をあらためて教わったと思う。

歌を歌い続けることで夢を与えること、大切な人の背中を押したいというその信念が自分自身にも乗り移ったとき、ほんとうに何でもできてしまいそうなくらい底抜けに明るい力が湧いてくる。音楽が秘める力に圧倒されながらも、自分の人生を突き進む揺るぎない生命力が宿っていくように私は感じていた。そうして視野を広げてくれるものと出逢ったとき、今までなかった発想力や根気があふれていくのかもしれない。

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そしてAyuのプロデューサーとして、彼女を歌手の道へ導いた松浦勝人氏との禁断の愛を描いた著書『М 愛すべき人がいて』では、Ayuが歌手としてのぼりつめるまでの知られざる激動の人生や、プライベートが綴られている。芸能界とは無縁のまったくちがう世界で生きている人々も、そんなバックストーリーに共感してしまうくらい、グサッと刺さるAyuの歌手人生への覚悟を知ったとき、毎日のちょっとした選択で人生は大きく変わるのだと考えさせられたのだ。松浦氏へ向けたAyuの愛が歌詞に散りばめられていることはたしかであるが、それを自分の大切な人への想いとして置き換えてみると、私は思わず共感し、強く頷きながら楽曲の世界観に夢中になっていた。

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もうどうしようもないくらい息苦しくてへこんでしまったとき、Ayuが力強くもそっと背中を押してくれながら、いったん立ち止まって物事を考えてみるのも良いと語ってくれているように思えた。苦しくても辛くても、どうしてまた進みたいと思うのだろうか。そんな自問自答を繰り返すとき、Ayuの歌がそっと前に進んでいく力を与えてくれる。暗闇のなかでポツンとひとり取り残されたような感覚に襲われそうになった時、眩しい光に包まれて一気に視野が広がっていく。私にとってAyuの歌は、いつも眩しくて、だけど痛んだ心の真ん中で寄り添ってくれるような温かみをもった存在なのだ。嬉しいとき、悲しいとき、迷ってどうしようもないときに寄り添ってくれる存在に出逢ったとき、人間は信じられないくらい強くなれる。そのことを私に教えてくれたのは、間違いなく浜崎あゆみだった。

そんなAyuの楽曲たちに励まされながら、今日も私は生きている。