28才の年の始め、私は結婚した。
その年の秋に結婚式を挙げ、披露宴では20年来の親友がスピーチをしてくれた。
「将来25才くらいで結婚してるかな~、なんてよく話したよね。あっという間にその年を過ぎてしまったけど、素敵な人が見つかって将来お嫁さんになるという夢を叶えられてよかったね」と。

彼と一緒にいるときの自分が好きではなかった

小学生の頃は「25才」に漠然とした憧れを抱いていたし、女の子は好きな人と結婚するだけで幸せになれると信じていた。当時はやりたい仕事や目標など特になく、ただ漠然と大人への憧れを抱いていた、平凡な女児だった。

25才の頃、私は当時付き合っていた彼と別れた。別れを切り出したのは私からだ。
彼とは中学時代から10年以上の付き合いで、回りの友人たちは当然のように私たちが結婚すると思っていた。私も、彼もそう思っていた。
だけど、私にはできなかった。気づけば私は彼のことよりも「彼氏がいる自分」のことを好きになっていた。なんというか、彼にとっての「良い彼女」を演じていたような気がする。

彼との結婚生活に明るい未来を想像できなかった。そんな感じだったので、彼と別れる直前は、彼と過ごす時間がただただ苦痛で仕方なかった。彼と結婚しても自分にとっての幸せはないと感じた。彼は最後まで私のことを好きだといってくれたけど、私は完全に冷めていた。

昔はただ「好き」という気持ちだけで付き合えたし、自分のことを好きだと言ってくれる相手がいるだけで幸せだった。
けれど、「結婚」というとそれだけでは決心できなかった。
大人になるにつれて自分にとっての理想の生き方を求めるようになり、彼と共に生きることは私にとっての理想ではないと気づいてしまった。何より私は彼と一緒にいるときの自分が好きではなかった。今思うと、それが一番の苦痛であった。

この人となら自分を飾らず納得いく人生を歩めると確信した

では、私にとってどんな人生が理想なのだろう?
29才になった今でもそれはまだわからない。ただ、自分には人生において結婚は必要なことだと感じている。

別れから2年後、高校時代の同級生と再会し、付き合い始めた。正直、高校時代は何にも思ってなかった彼に対してすごくドキドキしたし、何より居心地の良さを感じた。元クラスメイトだからなのか、自分を飾らずに接することができた。
彼と一緒にいるときの自分のことは最高に好きだ。付き合い始めた頃、満月の夜に「月がきれいだね」と彼にいったら、「何、夏目漱石みたいなこと言ってるの」と彼に言われた。文学的で少しロマンティックなリアクションは、まさに私の求めていたリアクションだった。この返しで私はこの人となら自分を飾らずに、納得いく人生を歩める気がする、と確信し、彼と結婚したい! と思った。彼と結婚してもうすぐ1年。この先どんな未来が待っているのかワクワクする。

私は彼と出会えて最高に幸せだと日々感じている

結婚はただ相手のことを「好き」という気持ちだけではできない。自分の人生と向き合うことが大事だと思っている。
あのまま25才で結婚していたらどうなっているただろう?
当時付き合っていた彼のとの共通の友人はもういないし、彼の現在は全く分からない。彼は幸せだろうか。そんなことを時々考える。

25才、周囲が結婚し始め、正直焦っていた。私もそろそろ結婚しなきゃ、と。
しかし、あのまま結婚しなくてよかった、と今は思う。今、すごく幸せだからだ。

大好きなアイドルの曲に「25才永遠説」という曲がある。25才で卒業するメンバーに向けられて書かれたもので、リアルな25才の悩みが歌われている。私にとってもそうだったし、25才って女性にとってはターニングポイントなのかもしれない。

「結婚って、どう?」。この質問に対して、今はまだうまく答えられない。旦那との旅路はまだ道半ばだからだ。ただ、私は彼と出会えて最高に幸せだと日々感じている。