20代。社会からは若いと言われる世代。しかし、だからといって全員が最新の流行に乗っているわけではない。

会社に勤めると、さまざまな年代の人と出会う。自分よりも年齢が上の、社会人経験が豊富な人がほとんどだ。新卒で入るなら全員が先輩。新人は、新しい文化を吹き込んでくれる人材として重宝されるであろう。

私は、一度転職をして今の職場についている。新卒ではないものの、私がいちばん下っ端で、経験年数も圧倒的に違う。年齢が親子ほど離れているスタッフもいるので、職場内では娘のようなポジションでかわいがってもらっている。それは嬉しいのだが、私は最新の流行というものに疎い。

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さかのぼると、高校生のころから流行を追うことはせず、自分の世界を生きてきた。文字から受けるほどかっこよいものではないが、流行をいち早く取り入れて輝く人たちとは距離を置いていた。きらびやかな世界を眺める側の高校生だった。彼女たちが羨ましいと思うことはなく、流行にはついていけない、後追いで形だけなぞったらそれで十分というほどだった。そのおかげで、SNSなどで流行っている言葉や文化は知らない。テレビで紹介されている若者言葉も、世代はドンピシャなはずなのに答えられなかったほどだ。

私が過ごした時代は、携帯電話がスマートフォンにかわり、ネットやSNSが身近になった時代。カメラも進化していき、スマートフォンで自撮りをする文化も生まれた。自撮りがうまくできるアプリも生まれ、ほぼ全員がインストールしていたような気がする。アプリを使って加工しながら可愛く写真を撮るのが一般的になり、息をするように自撮りをするのが当たり前になった。カメラを向けられたら、何かしらポーズをするが、カメラを向けられる事自体に引け目を感じていた私。自撮りをしようとはこれっぽちも思わなかった。おかげで自撮りをするという文化からはかなりかけ離れ、写真の撮り方やカメラの構え方、可愛く映るアプリなども知らずに社会人になった。

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一番若い年代として可愛がられている今の職場。当時流行っていた文化だけでなく、今の流行りも知っていて当然のように聞かれる。私が高校生だった頃から何年経っているだろうか。ほぼ10年である。さすがに今の若者の流行りには追いつけない。テレビをみて、「へぇ~」とか「ほぉ~」と呟いているくらいだ。テレビで最新の流行を知って数ヶ月経てば、新しいトレンドがランクインしていると特集される。少し前はだいぶ前。20代でも、10代のトレンドを追うのは苦労するのだと実感している。 

写真とは、距離が遠かった私の人生。今でも自撮りはほとんどしない。距離感としては遠い方で変わりないと思う。私たちの世代は、写真とは近い距離にある人が多い。最近では、昔流行っていた、チェキやフィルムカメラも最先端として帰ってきている。写真のあり方も変化するなかで、私は変わらずに距離を置いているのだ。

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意図して近づこうと思えば、知らないことだらけでパンクしてしまう。勉強が大の苦手だった人が、ハーバード大学に入学しよう思うくらい難しいかもしれない。こうやって嘆いている間に、トレンドは更新されていく。写真のあり方も変わる。自撮りに限らず、食事を美味しそうに撮る方法も然り。写真との距離感を縮めるには、最新のトレンドもキャッチしていないと難しいと感じている。

少し前まで、自撮りは難しい、至難の業とされていた。ガラケーには内カメラがついていない機種が多かったからだ。それが、スマートフォンになって内カメラが当たり前につくようになった。自撮りが失敗しない写真となり、そこからより良い写りを求めて技術を研究する人が出てきた。これからももっと可愛く、きれいに自撮りができるよう、工夫がされていくのだろう。そんな時代のなか、私は少しずつ歩み寄ってみようか。今はまだとても離れている写真との距離。最先端には行けないけれど、自分なりに可愛く、きれいに映る方法を探してみても良いかも、と思えた。