上京——私の人生を変えた第一歩。おかげで、たくさんの世界を見ることができた。もし、ずっと地元にいるままだったら、今も自分の殻に閉じこもっていたかもしれない。 

最初は、ただ地元から出たいだけだった。周りのみんなみたいに「こんなことを学びたい」「こんな風になりたい」なんて、微塵も考えていなかった。色々あったので、親友以外の、小学校から高校まで一緒だった人たちとはなるべく距離を置きたかった。だから、大学受験では地元の大学を受けなかった。そして、高校卒業後、私は逃げるように東京へ。

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コミュ力ゼロの私は、短大に入学してから早速クラスでぼっち状態。馴染めないまま数ヵ月。

語学研修のための授業があり、同じクラスの子たちとの接点が減った。そして、友だちができないまま渡米。正直、不安しかなかった。 

一緒にアメリカへ行ったのは、同じ短大のメンバー。39人みんな初めて見るタイプだった。英語しか使わないコミュニケーションや授業。最初はかなり緊張していたし、やっていける自信がなかった。だんだん、短大のメンバーと楽しく会話できるようになり、"友だち"と呼べる関係になれた。授業でも発言できるようになり、課題もサクサク進められるようになった。

帰国が近づく頃には、キャンパス内で友だちと一緒にウサギやリスを追いかけたり、リンゴをかじりながら散歩したりするまでになった。英語力とコミュ力が上がっただけでなく、地元にいた頃よりも笑顔でいることが増えた。日本に戻って夏休みを終え、短大での生活が始まると、クラスの子たちとも話せるようになった。「アメリカに行く前よりも明るくなったね!」と言われ、ちょっぴり嬉しかった。

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短大での2年間が終わり、同じキャンパス内の大学へ編入した。短大2年生から大学3年生になっただけなのに、短大に入学したときと同じ緊張感があった。同じように編入した子たちは40人近くいたけれど、専攻が同じ子はたった4人。1年生から普通に大学生だった人たちに囲まれながら、レベルの上がった授業についていけるか不安だった。

ほぼ誰とも相談せずに履修科目を選んだので、当然1人で受ける講義もあった。「ついていけなかったらどうしよう……」「グループワークがあったら色んな意味で終わる」と思っていたけれど、結果としては取り越し苦労だった。短大やアメリカで頑張ってきたこともあり、周りの席の学生と初回から普通に会話できたし、分からないところを聞けばすぐ教えてもらえた。 

一番厳しいといわれるゼミに入ったけれど、好きな分野だったため、全然苦じゃなかった。ゼミ生には短大で一緒だった子が3人もいたこともあり、他の大学生たちともすぐに打ち解けられた。課外学習やゼミ合宿、飲み会などの機会もあり、ゼミを楽しむことができた。

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社会人になってからも自分に挑戦することを忘れず、誰かのためではなく"自分のために"行動できるようになった。新卒で就職した会社では嫌な思いをしたので、今の会社に転職。充実した日々を送りながら、自分磨きのために人生初のジム通いを始めた。また、今年は小説家への夢のために、仕事や資格勉強の合間を縫って、小説を書き進めている。

東京に来て、本当に良かった。たくさんの人との出会いや貴重な経験が、私らしくいられる場所が、私を変えてくれた。変わるために行動したのは自分自身だけど、自分を出せる環境にいることも大切なのかもしれない。これからも今いる場所で、私にとってもっと広い世界を見ていけたらいいなと思う。