「LOVE TRANSIT」
これはかつて恋人だった5組の元カップルたちが時を経て、1ヶ月間ホテルで共同生活「ホカンス」生活を送り、自分の価値観や元恋人、新たな恋人と出会う/出会い直すために向き合い、その狭間で揺れ動く等身大の姿をうつした恋愛リアリティショーだ。
私は今、地方で一人暮らしをしながら、土日はAmazonプライムで部屋でこの番組を眺めている。
元々東京出身で大半の人が知っているいわゆる大企業の営業マンだったが、4年前に単身、縁もゆかりもない地方に転職した。
もちろん、周りからは「待遇良かったのに、よくそんな土地にの仕事に転職したね……」「英語もできるのにもったいない。信じられない」など転職当時は東京の元同僚や友人たちから、よくそう言われた。
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そんな東京生まれ育ちの私は、地方に来て4年目になる。地方での日々の仕事は、非常に手触り感があり、社会貢献の実感を持て、業務の幅も広く毎日楽しいものだ。地方転職し、仕事や人生の充実度は上がったものの、やはり20代後半の時を地方で単身で過ごす——となると、プライベート面で吉報というか、逆に浮き沈みがあるような出来事もなく進んでしまっている感がある。そんな時、たまたまAmazonプライムでこの番組を見つけ、毎週見ることにした。
もうすぐ30歳になるのに、恋人がいない。マッチングアプリを始めてみるも、私はどうしても自分の中でケジメをつけきれていない東京時代の過去の恋愛の記憶と想いがある。
希望の会社で希望の部署で非常にエネルギーに満ちた外国籍の同僚たちと仕事をしているのに、「自分の本当の幸せって何だっけ?」と日々どこかもがいていた東京での会社員時代。そんなある時、仕事が終わって赴いた地方創生関係の団体イベントの手伝いで、偶然出会ってしまった彼。そこから遠距離も含めて2年半続いた関係———。
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彼は目の前の仕事に夢中で大きな組織の中でどんどん前へ進んでいく——。一方、私は単身地方に移って転職し、地方のクライアントを相手に、成功や野望のためでなく周りの人の為に毎日コツコツ自分の仕事をする———。30歳を前後に、環境や立場や価値観も変わり、二人の関係性にいつしか隔たりができ、やがて当時の私たちでは修復できないものになってしまった。
「私の何が悪かったんだろう。」「なんで、分かり合えないんだろう。また戻れないんだろう。」と離れた地で、一人後悔することが多々あった。また戻れるのであれば、再びやり直したいと思うこともあり、新たな出会いがあってもどこか前を向けずにいた。
そんな時に、LOVE TRANSITをみて、非常に共感や学びが多かった。
この番組は、1ヶ月間ホカンス生活を過ごす中で、新たな人と出逢い、その中で必然的に自分の恋愛観や元恋人を見つめ直す時間を描いている。
二人の関係性の慣れや、当人の置かれている環境や経験により、価値観や性格が変わり、それで別れる関係性もあれば、再び出直す関係性もある。
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このLOVE TRANSITは、そんな主人公たちの、過去の恋愛と新たな出会いの間で揺れ動く心の様や二人の、またホカンスメンバー全員の関係性を紡いでいる。
新たな人と結ばれる主人公もいれば、過去の二人が「復縁」するのでなく、一緒にいるため変わりたいと願って、成長した新たな二人が、出会い直して「新しく付き合う」という道を選ぶ主人公もいる。
そんな二人は、お互い個人の想いを伝えるべく、相手に気持ちを伝わることを願って、ホカンス中も一緒に時を過ごした。
私は、この番組をみて、東京に戻り機会があれば、この主人公たちのようにアクションし、どちらにせよ「新たな関係性」を紡いでみようと思った。