大学時代、国際寮に住んでいた関係もあり、色んな国の友人がたくさんできた。

お互いの部屋に行ってお互いの国の料理を振る舞いあったり、都心に出かけたり、課題を教えあったり……。留学生だから、ではなく、普通の友人としての交流ができていたと思う。

しかし、そんな楽しい毎日も永遠には続かない。交換留学には期限がある。半年あるいは1年で帰国しなければならない。帰国時にお互いのSNSを交換し、「国に来てくれたら案内するよ」、「必ず遊びに行くよ」という、お世辞か本音か判別のつかない曖昧な言葉を交わし、そして、永遠の別れを告げる。 

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その中でも、ありがたいことに、連絡が続く人がいる。コロナ禍が落ち着き、そろそろ海外へと思っていたこともあり、久しぶりにDMからメッセージを送ってみた。嬉しいことに返事はすぐきた。すぐに旅行を計画し、私たちは7年ぶりの再会が決まった。

韓国は何度か行ったことがある。友人から聞いたことのない駅名での集合を提案されたが、即、了承した。英語もできるし、電車の乗り方もわかるし、最悪スマホの地図もある。なんとかなるだろう。無事入国したのち、電車で向かう途中で、友人から行く予定のお店が送られてきた。とても美味しそうな韓国料理屋を予約してくれているとのことだった。借りてきたWi-Fiの容量を使わないように、「美味しそう!」とメッセージを送ると、携帯をしまった。

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集合駅まであと二駅。そろそろと思い、携帯を取り出した。SNSを開こうとするが、携帯が全く動かない。何を押しても微動だにしない。電源を一度落とそうとしてみたが、画面がフリーズしてしまい、それもできない。

集合駅に来てみたが、友人の姿が見当たらない。どうしようと思い、駅のインフォメーションセンターに行ってみた。駅アナウンスをしてもらったが友人は来ない。もしかしたら料理屋さんにいるのかもと思ったが、店の名前がわからない。大使館もお休み、家族も電話に出ない。集合時間から2時間が経過した。もう友人とは一生会えないかもしれない、と覚悟した。

その時、駅員さんが、携帯の修理を提案してくれた。その発想は全くなかった。駅員さんは親切に、別の駅にある携帯ショップまで連れて行ってくれた。携帯は魔法のように簡単に直った。DMで、「予約時間なので、お店で待ってるね」と集合場所が変更された連絡、そしてその後心配して何度も電話してくれているのがわかった。友人とやっと連絡をつけることができ、無事に7年ぶりの再会を果たした。

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 これまでいかにスマホに依存していたか、そしてスマホがあることに慢心していたかを思い知らされた。次は、友人の電話番号や予約してくれたお店をアナログの形でメモしておく必要があるだろう。

「きっとまた会えるよ、携帯が故障しても会えたんだから」と友人は言った。本当にその通りだなと思う。スマホは私たちの交流の継続に一役買い、そしてスマホ無くしてもその交流は変わらないこともまた示してくれた。再びしばしの時間の別れ。きっとまた会える。

しかしながら、スマホと強制的に離れたことにより、その大切さと依存を改めて思い知ることとなった。きっとこの依存はもう変えられることはないのだと思う。