私がスマホを手放す時間。

それは部活をしている時。

私は野球部のマネージャーをしている。

活動日数は週5日。大学生にもなってこんなにも部活に熱中している大学生はなかなかいないのではないかと思う。

◎          ◎

果てしなく広がる世界から離れ、野球と部員と向き合う時間。

一切の情報が入ってこない時間。

私の視界、頭の中には仲間のことだけ。

彼らは何を必要としているのか、何を望んでいるのか、私は何をすべきなのかを考え、みんなのもとへ駆け寄って行く。

それでもふと思うことがある。

高校の頃は大学に行けば自由になれると思っていた。

たくさん友達と遊び、たくさんバイトをして稼いで、旅行に行って、おしゃれもして。

でも実際選んだのは、少し厳しい道。

友達と遊んだり、旅行に行ったり、思うようにバイトもすることができない。

インスタのストーリーを見て、楽しそうな友達がすごく羨ましくなる。

もし部活をしていなかったら、もっと自由で自分のためだけに時間を使えたのではないか。

もし部活をしていなかったら、と次々に思いがこぼれてしまうこともある。

◎          ◎

それでも部活をしている間はスマホを手放し、そんなことは忘れてしまう。

私の居場所はここにある。マネージャーとしての私は1番輝ける時間。

みんなから必要とされ、切磋琢磨し合い、1つの目標に向かい前だけを見て努力し続ける。

画面上では味わうことのできない経験、感情が湧き上がってくる。

努力が実らず、重たい背中をただ眺めることしかできない時、抱き合いあふれる笑顔を見ることができた時。

言葉にできない悔しさ、虚しさ、苦しさがあり、心臓が震えるほどの喜びがある。

つらければつらいだけいい。

◎          ◎

将来、人生で1番だったと思えるようにすると我武者羅に取り組む。

時にはぶつかったって逃げたっていい。ぶつかって躓いても何回でも起き上がって戻って進んでいく。

私には私の道がある。私が選んだ道がある。後悔なんてしない、正解にしていくんだ。

周りとは少し違う幸せ。最後の学生生活、もう二度と経験することができない部活を私は

経験できている。幸せ者だ。そんな想いを届けるために声をあげる。

「ナイスバッチ!」

「ナイスキャッチ!」

「ナイスピッチ!」

「大丈夫!大丈夫!できるよ!」

◎          ◎

君には、私たちがそばにいる。いつだって君の味方だって。いつもチームのために頑張っているのはわかってるよ。

たくさんの想いを伝える。その気持ちを受け取ってくれる仲間がいる。

笑顔も涙も分かち合える。すごく特別なこと。

これからも仲間との思い出は増え続ける。

全力で突き進む私たちが築き上げる眩しい記憶。グラウンドに響き渡る金属音。ミットに吸い込まれていく捕球音。ツーンと嗅覚を刺激する草の匂い。土の匂い。一生色褪せることのない大切なもの。

私はみんなに寄り添い、そばで支え続けるマネージャー。

また今日もスマホを手放し、グラウンドへ足を運ぶ。

想像することもできない喜びを目指して。

「ナイスバッチ!」