生きていると多くの選択をしなくてはならない時が誰にでもある。私はこれまで幸運なことに、多くの選択を自分ですることができてきた。その分、選択に悩んで無駄に時間を浪費したことや、その選択に後悔した瞬間はかなり多い。人生は選択の連続ではあるのは確かだけれど、その中でも、かなり心を疲弊させたものが2つか3つはある。

本当に悩み、答えが出ない時、おまもりにしていることがある。それは、占いだ。とある時にしてもらった占いの結果を今でもはっきりと覚えている。その時の言葉が、私の背中を押してくれるのだ。

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そもそも、占いはテレビでやってる星占いを楽しんでみるくらいで、街中の占いに行ったことはなかった。そもそも私は理系で、きちんと理屈で説明できるものしか信じない。何を信じるかは人それぞれだけど、私はきっと、そういう人間だろう。そう思いこんでいた。そんな私が占いにハマったきっかけは、香港旅行だった。

やってみようよ、という友人の誘いで、観光目的で占いをしてみた。香港にある黄大仙という有名なお寺。日本人観光客も多い場所だ。そこで、まずはおみくじを引く。その結果を、近くにいる占い師が読み解いてくれるという仕組みになっている。日本語を話せる人もいて、体験しやすい。

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値段は当時1000円程度とお手頃。私は勉強について占ってもらった。当時かなり成績が落ち込んでいたものの、占いの結果は、想像以上の良い結果。半信半疑ながらも、悪い気はしなかった。

何年かして当時の占いが当たっていたことがわかった。その後、台湾など占いで有名な地区に行った時は必ず占いに行くようになった。占いに行くと、これまでうまくいってなくても運勢的に仕方なかったことだったんだと言い訳ができる。占いに行くと、今つらくても必ず良い未来があると信じることができ、努力を諦めずに継続することができる。依存には注意しなければならないが、上手く利用することで、まるで心のエステに通っているような感覚に私はなる。

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ある日、人生最大とも言える決断をしなくてはならない時がきた。それは私にとって葛藤を伴うものだった。答えは既に出ていたが、心の奥底で納得ができていない。その選択をした時の未来が不安なのだ。考えても心は晴れない。気がついたら、都内にある占いに足が向いていた。

この時の占い結果は、私だけのおまもりとして大切にしておきたい。そのため他者に言うことも、エッセイとして残すこともしない。ただ、その時の内容は、私の心を救い、決断を後押ししてくれるものだった。かけてもらった言葉は、今でもはっきりと覚えている。

社会人になった今でも選択の連続の毎日だ。おそらく、これからも多くの決断をしなくてはならなくなる。その度に悩み、後悔し、心が疲弊することは間違いなくあるだろう。それでも、あの時の結果が、ずっとおまもりになって効いていて、もう諦めたくなった時に、あともう少しだけ頑張ってみようかな、という意欲につながる。これだけは現在、確信を持って言える事実だ。