私が好きな家事は料理である。自炊は私の心を満たしてくれて、落ち着かせてくれる。これほど夢中になれる家事はない。とにかく無心、効率よく短時間で料理を作ることだけを考えて動いている。

イチから料理を作るときは、1時間以内に作り終えたら、自分にはなまるをあげている。ぱぱっと作れる料理であれば30分。作り置きで済ませる食事なら10分以内など、そのときのメニューによって目標とする時間は違ってるのだ。

なぜ私が料理に効率を求めるようになったのか。それは、社会人になってからの出来事がきっかけとなっている。

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社会人になってすぐのころ、私はどうしても仕事をこなすのに時間がかかった。マニュアルを確認しながら1つずつ合っていることを確かめてやらなければ不安な人だった。

お陰で1つのタスクを終えるのに30分や40分もかけていた。先輩や効率の良い同期は20分程度で終わらせる。そんな仕事を永遠と時間をかけてやっていたのだ。どれだけ日を重ねても、なれない作業に感じた。

毎日時間をかけて仕事をこなすので、先輩から、時間を意識して作業をして、と何度も注意を受けた。効率の良い仕事をするために、何か日常生活で取り入れられることはないか、と考えたとき浮かんだのが料理に応用することだ。

工程を考えて、手順を先読みして準備を進める。これをトレーニングすれば、仕事でも少しは動けるようになるのではないか、と考えた。

料理はもともと好きだ。新しいメニューにチャレンジするのも、お気に入りのメニューを作るのも好き。職場にはお弁当を持っていくほど自炊にこだわっていたため、料理は実践する頻度が高い家事でもあった。

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最初は作るメニューを決めて、使う材料を出すところから始める。具材を切る、鍋やフライパンを出す、火にかける、どこでどのような工程が入るかを頭のなかで想像した。同時進行できそうな工程は、すぐに取りかかる。鍋に湯を沸かしている間に、茹でる野菜を洗ってしまおう。フライパンで蒸す工程をしている間に、次の食材を準備しよう。というように、できるだけ流れ作業のようにできる工程を考えて実践した。

洗い物をできる時間も見つけ、できるだけ作り終わりはすべての食器が片付いているようにした。指揮者が最後のひとふりを終えた、あの気持ちよさを料理の最後にも味わえるように。1年目から続けて、今ではクセのようになっている。

料理で効率を求めていたあまり、仕事に反映できているかは未だにわかっていない。

本末転倒かもしれないが、料理を効率よく行うために考えるクセはついた。一応、仕事も効率よく進められるための組み立てをするようにはなった。転職をしているので、前職と今の仕事とでは、求められていることが少し違う。だから完全に仕事にも応用できたとは言えないが、考えられるようになっただけ成長しているのかもしれない。

こうして料理は効率を求めて行う家事になった。けれど楽しいことに変わりはない。作りたいと思うこと、栄養バランスを考えてお弁当のメニューを決めること、節約を考えて夕食のメニューを考えること、すべて自分が自発的にやりたいと思ったことである。自分で考えたことは、達成できるととても楽しい。料理は毎回それが感じられる。だから好きなのだ。

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これからもたくさんの料理を作り続けていくが、効率の良さを重視していくスタイルも変わらない。楽しんで、やっぱり料理は最高だ、と思いながら過ごしていくだろう。

きっと何年時間が経っても、料理は私の中で一番好きな家事だ。殿堂入りしそうなくらいのぶっちぎりの1位。苦手、嫌いという人がいれば、代わりにご飯を作ってあげたくなるくらい、料理が大好きなのである。

今は自分のために、自分が楽しむためにしている料理だが、いつか人に振る舞うときがきても恥ずかしくないようにするのが今後の課題。胸を張って、友人に食べて、食べに来て、と言えるクオリティを求めて、これからは料理を楽しんでいこう。