コバンザメみたいな人生を送ってきた。
具体的にどういうことかというと、まず、高校。
私が通っていた高校には、普通科と理数科があった。理数科はそこそこ高い偏差値だった一方、私が通う普通科の学力レベルはごくごく平均的。自称進学校、と呼ばれるタイプの高校だった。
にも関わらず、高校名を言うと頭良いんだね、みたいな反応をもらえることが度々あった。きっと理数科が有名だから、そのイメージに引っ張られている人が多いのだと思う。理数科様のおかげで、実態よりも頭が良い印象を持たせることが出来ていた。
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それは大学でも同じだった。
私が通っていた大学は、5分校に分かれていた。それぞれ道内の別々の地域に設置されていて、入試も分かれている。最も学力が高いのは札幌校だ。改めて調べてみると、サイトによって多少変動はしているものの、道内の国公立大のなかでも3番手くらいだった。
一方、私が通っていた地方の分校は、5校のなかで1番偏差値が低い。美術、スポーツ、音楽などの分野に特化しており、入試では実技テストがある場合もあるため、専攻によってはセンター試験3科目しか受けなくてよかった。
なので、自分は札幌校の人達とは全く違うレベルなのだと認識して過ごしていた。それは実際そうだったのだけれど、就活の際、衝撃の事実に直面した。
履歴書に大学名を書く時は、「○○大学○○学部○○学科」というように書く。
5分校とも、大学名は同じだ。つまり、どこの分校なのかを書く必要が無い。
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学科名を見れば割り出すことは出来るし、元々この大学について知っていたり、何年も北海道で人事をやっている人なら分かるのだと思う。しかし、そうでない人たちがパッと見ただけでは見抜けないだろう。
札幌校の生徒からしたらたまったもんじゃないだろうが、私にとってはラッキーである。そのおかげか、学チカも外見も決して華やかではない私だというのに、道内企業に書類で落とされることはなかった。結局面接に進むと落とされまくっていたのだが、そこまで辿り着けないよりはマシだ。
しんどい就活だったけど、札幌校の好印象のおこぼれを頂いたことで多少は救われた。
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そんな就活を経て、辿り着いたのが今いる会社だ。今年で入社3年目に突入した。
私はこの会社でも、コバンザメとしてでっかいサメのおこぼれをもらっている。どういうことかというと、ここは大きめの企業の子会社なのである。
大きめと言っても地方企業だ。エリート街道を進む人々は鼻も引っ掛けないのだろう。しかし、札幌で細々とコバンザメ生活を送ってきた私からすれば十分大手だ。
出社するオフィスは本社と同じで、市の中心地にある。ボーナスも、残業代もちゃんと貰える。それは当たり前では?と思われた方もいるかもしれないが、父がボーナスも残業代もろくに貰えない会社に勤めており、それを間近で見てきた身からすると、感動しかない。ついでにコンプライアンス意識もしっかりしている。親会社の恩恵受けまくりなのだ。
自分なりに大変な世界を生きてきたつもりだったけど、こうしてみるとなんとも運に恵まれている。能力や努力の低さからすれば、まあまあのリターンを得られている。
現在25歳。残りの社会生活もこの感じで進めていきたいのだが……。まだまだ長すぎて、ちょっと難しい気もしている。
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