数年前に大学を卒業した私は当時、某旅行会社に新卒入社した。大学時代は1年間の交換派遣留学を経験し、ゼミでの勉強も心底楽しく、本当は海外の大学院に進学して国際政治やジェンダー学の勉強をしたいと内心では思っていた。でも、文系でアカデミックな分野で生きていくことは金銭面や卒業後の進路を含め、相当大変で気力のいるものであると実感していたからこそ、当時の私は就職する、というある意味では無難な選択をした。というよりも、してしまった。
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就職先は「就職する」という意味では第一希望の会社であり、最初の配属先も希望していた部署だったし、そもそも就職すること自体、ハードルの高いことであることでは重々承知であり、その道を選んだことは社会一般的に見て正しいものだったと思う。ただ、心のどこかで常にふと「大学を卒業してすぐに海外の大学院に進んでいたら今頃どうなっていたのだろうか」と考えてしまう自分が正直今でもいるのだ。
でも、就職をしたからこそ学べたこと、経験できたことがたくさんある。例えば、お給料を貰いながら、実践を通して社会人としての基本的な所作やマナーを身につけられたことはとてもありがたい。
それにこれは旅行会社勤務ならではかもしれないが、国内外含め、色々な観光地を訪れることができたし、イベントに参加することもできた。食事の試食として美味しい料理を食べさせてもらえる機会もあったし、出張で海外にもいくことができた。また、視察として一般ではなかなかお目にかかることの出来ないような五つ星ホテルのスイートルームに入ることが出来たりなど、色々な経験をさせてもらえた。
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もちろん、仕事だから厳しいこと・辛いこともたくさんあったが、どれも「就職する」という道を選択したからこその貴重な経験である。だからこそ、選んだ道はどれもが正解で、不正解はないんじゃないかと思う。
もちろん、選ばなかった道を選んでいたらどうなっていたのだろうかと思うことはある。この先誰しもが何歳になってもふと考えてしまうことなのかもしれない。でも、どの道にも選んだ先で学べることはあり、その道を選んだからこそ出会えた大切な人間関係がある。どの選択をしても決して無駄な経験にはならないし、間違ったわけでもないのだろうと思う。
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今、入社して数年が経ち20代も残りあと少しの年齢になり、社会人として公私ともに色々な経験を経て、会社でも私生活でも全体像が見えてきた中で、選ばなかったもう一つの道「学ぶこと」へ挑戦したい気持ちがじわじわと、そしてふつふつと再燃し、高まっている。
これからどうするか検討中ではあるが、地に足をつけて今できることをしながらも、いつ何があっても、将来後悔することのないよう、自分の気持ちを大切に、これからの道を選んでいきたい。きっとどの道を選んでも正解で、学べることはまだまだ沢山あると信じて。