2023年7月、私が勤めていた会社Aは、会社Bと合併した。
簡単に言うと、私の勤めていた会社Aは買収された。社会人2年目の夏の出来事だった。
仕事にも慣れてきたところだったのに、私は会社Aを辞めて、買収先の会社Bに勤めることになってしまった。クビにならなくて、ラッキーだったとは思う。
当時の社長には、これから伸びる会社に入れて君は幸運だと言われた。
しかし、内心、私は会社Aで働きたいと思い就職し、仕事に対して、やりがいや楽しさのようなものを感じていたし、これからも会社Aの方々と仕事ができると嬉しく思っていたから、会社Aを離れることになるのはショックだった。
私は、会社Aに捨てられたのかな、とそんなわけないのに、そんなふうに思ったりした。
とにかく会社Aにいたメンバーとこれから毎日会えなくなるのが寂しかった。
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そんな中、幸運にも会社Bに初めて出社したとき、同じ趣味の先輩に会うことができた。私は、それをきっかけに元気を取り戻していった。私は、新しい環境で再出発する決断を下した。ただ、その選んだ道が、地獄の始まりとなることは想像していなかった。
会社Bで、私より2歳年上のIさんという男性がコンサルタント担当になった。
今思えば、これが地獄の始まりだった。
Iさんは、筋肉ムキムキで一橋大学を出たいわゆるエリート。私は、この人から目をつけられてしまう。無断で私の名前を使用したメールを送信されたり、私が使用していない、例えば切手使用欄に私の名前を勝手に書いたりされた。また、ブレスレットを身に着けていったときは、引きちぎってやろうかと言われたし、ミスをしてしまった時は、男なら殴っていたと脅迫めいたことを言われた。
Iさんは、人の外見を小ばかにするようなこともあったり、嘘をつくことはしょっちゅうだった。私は、会社に行くことが怖くなっていった。
会社Bの担当コンサルタントであるIさんの嫌がらせは、私を少しずつ追い詰めていった。
私は、直属の上司MさんにIさんからの嫌がらせについて相談したが、忙しいのか、なかなか理解されなかった。そのためIさんの上司Kさんに相談した。Kさんは、Iさんと私が物理的に会わぬように配慮してくれた。上司Kさんのおかげで、私はなんとか会社に行く気持ちになることができた。上司Kさんには感謝しかない。
だが、また逆境が襲った。上司Kさんが退職してしまったのだ。
結果、Iさんが一番上の立場になってしまった。私は、上司Kさんが退職してしまったショックと度重なる残業もあって、心身ともにボロボロだった。
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勇気を振り絞って、労働局にパワハラされていると電話相談したときは、まったく相手にされず、へこんだ。Iさんから言われたパワーワードは録音もしていて物的証拠もあるのに、私は社会から守ってもらえないんだと絶望した。もう世界の終わりだ(そんなことはないのだが)と思って、そのまま、次の日から起きられず、寝込む日々が続き、休職することになってしまった。
私は、Iさんにされた嫌がらせをリアルタイムでXにつぶやいていたのだが、同情してくれるコメントや私を応援してくれるコメント、アドバイスをくれる人達がいた。私にとってそれが救いになった。当時を振り返ると、温かいコメントがあったから、会社に行こうと思えたし、頑張れた。コメントしてくれた方々に今でも心から感謝している。Xをやっていてよかったと思えたし、人の優しさに触れて涙が出るほど感動したし嬉しかった。当時勇気を出してコメントしてくださった方、なにげなくコメントしてくださった方、本当に私は助けられました。心から感謝申し上げます。
そんな会社、辞めたほうがいいと言ってくれる人もいたが、私は辞めなかった。
Iさんからいじめを受けて辞めるなんて悔しかったからだ。買収されてしまったものの、元はといえば、入社したくて必死で就職活動を頑張った会社だったし、内定をくださった社長のメンツのためにも簡単に辞めてたまるかという想いがあった。また、私は、就職活動が辛かったので、新たな就職先を見つけることの難しさに恐れを感じてもいた。
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ちなみに会社Bは、私以外に休職した人が、この1年でもう1人いる。
辞めていった人は、1年で4人いる。社長は2回変わった。
現社長は、辞めたければ、辞めればいいというスタンスなので、冷たいなと感じることがある。会社の雰囲気ががらりと変わるのは難しいかもしれないが、私がここで踏ん張って働いて、権力を持つようになったら、私が会社を変えられるかなと期待もしてしまう。
一方で、全ての時間を仕事に捧げていいのか、プライベートを充実させたいという欲も休職中に湧き出てきた。会社Bに勤め始めてから、休日は疲れて家で寝ていることが多かったし、友達とも1回も遊べていなかった。
仕事に捧げる時間とプライベートの充実、それぞれのバランスを取ることの重要性に気づいた。休職して、私は自身の人生について考える時間を持ったことで、このことに気づけた。
もう少し人生を楽しんでもいいんじゃないだろうかと思うようになってきた。とはいいつつ、大学時代から学んできたことに関わる仕事なので、やりがいはある。苦労して就いた仕事、やりたい仕事だったじゃないかと自分を鼓舞して頑張り続けるべきかと悩むときもある。
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私は、今、分岐点にいると思う。
やめるか、諦めるか、変えるか。
正直、私の一番の希望は、私だけでなく社会や職場が、より良い労働環境に変わることだ。私は、安心・安全・安定が約束された会社に勤めたい。
未来への道はまだ決まっていないが、私は、自分の心に従って進んでいこうと思っている。
今回の出来事をきっかけに、未来を背負う子供たちに、パワハラセクハラが横行している社会をこのまま後継させてはいけないと強く思うようになった。働きすぎで死んでしまうなんてもってのほかだ。そんな社会が変わってほしいと切実に思う。
最後に、仕事をする中でお世話してくださった上司の皆様、先輩方、Xで励ましをくださった方々と仕事に関するアドバイスをくださった方々、相談にのってくれた友人、私の体調の変化に気づいてくれた家族に、心から感謝します。