大きな声では言えませんが、今年の夏で30歳になります。
近頃なぜか同じ年の友人が、急に食事に誘ってくれることが多くなってきたんですが、大体みんな「これからどうするかね」という話題ばかり。
そして私も、同じように「どうしたもんかねぇ」と首を傾げています。誕生日まで、およそ3ヶ月。なんとなく節目に感じてしまう数字ですが、ここで30歳までにしてみたかったことを、振り返ってみたいと思います。
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と言っても、ほとんど心残りなんてないんですが、唯一本当にちょっと焦りを感じているのは、ついに処女を卒業していないことくらい。
去年に、卒業する約束をしていたおじさんにはのらりくらりと延期を重ねられて「もうええわ!」とついに年末に諦める、という事件があったくらいでして。おじさんとはまた仲直りして「いや、諦めたんで」スタンスで仲良くしてもらっております。どうにもこうにも、自分の気持ちだけでは思い通りにならないものですね。
おじさんが好きでしょうがないのか、と聞かれたら別にそうでもないけど、初めてするならこんな人がいいなーと思って見つけた人だったので、1回やっておしまいにしようと約束するも、1回もやってもらえないままずるずる謎の時間を過ごしてしまっていました。
自分のわがままにも呆れたものですが、そんなことに巻き込まれたおじさんにも少し申し訳なかったなと思ったり。
恋愛迷宮にしっかり迷い込んでるこじらせ友人たちも、「次付き合う人と結婚するねん」なんて極端なことを口走り始め、「いや、そう決めてしまうのはほんまに怖ない?!」とちょっと止めてみても、右から左に受け流されています。
できれば私も次付き合う人と結婚したい。そうしたら、初めての男の人と結婚……なんていう遅咲き憧れシチュエーションも夢じゃないですが、そんな映画みたいなことが起こる可能性は、流れ星を捕まえるくらい希少であります。
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春になってなにか大きな変化が欲しいな、と思って出てきた選択肢は3つ。
バイクの免許を取るか、車を買うか、1人暮らしをするか。
バイクは危ないからやめとき、と止められ。車は両親が弟に買い与えることになったので、置く場所がない。1人暮らしは……。自分で全てするのなら別にいいけど、と両親に言われ、実家好き甘ったれ次女は、手伝ってもらえる前提で話していたので、それなら面倒臭いしいいわ、とさっさと諦めてしまいました。
件のおじさんの「1人暮らしするんやったら、荷解き手伝ってあげるよ。パンツ被りながら」と下心しかない提案もなかなか魅力的ではあったんですが、おじさんを入り浸らせるために1人暮らしを始めるのも違う気がするし、そもそも1人で暮らしていた留学中も誰1人として異性を部屋に招き入れたことがないし、職場はかろうじて実家から通えるし、無駄に家賃と光熱費を払うくらいなら、その分貯金と勉強と遊ぶお金にした方が有意義なのではないかという結論に至りました。
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結果、選ばれたのは、全く違う別の2つ。
1つは、使われていない姉の部屋が遂に空くので、それを私の衣装部屋にさせてもらうことに。ラックを購入して、お気に入りの洋服たちをずらりと並べて、ブティックのようにする計画に、今から胸が躍ります。
もう1つは、楽器を買うこと。寿命をゆうに超えてしまっていた私のおばあちゃんオーボエを手放して、新しい楽器をお迎えすることになりそうです。たまたま楽器が大量に入荷されていて、試奏してみるとみんななかなかいい具合。貯金もあるし、古い楽器もすぐに買い取ってくれる人が見つかりそうなので、これはそういうタイミングなのでしょう。
楽器を買うという選択肢が、1番安く上がることも面白いところ。
楽器をやめざるを得なくなった時、楽器がもう寿命を過ぎてしまっていたこともまた一因でした。新しい楽器が手元に来るということは、私はまた水を得た魚のように楽器を練習する姿がイメージできました。それは、何よりも素敵なことだと思いました。
早速、大学の演奏者募集をしている演奏会にダメもとで申し込みしてみました。また私の生活の中に音楽が戻ってくることが、嬉しくてしょうがない。
今年の夏は、きっと素敵なものになる自信しかない。きっと素敵な30代の幕開けを切ることができるはずです。