夏になったら、気になっている人とご飯に行きたい――。私は今、大人なのにひたむきな片想いをしている。

私が気になっている人は、前職の元上司だ。私自身は持病により会社を辞めたから、もう八カ月も会っていない。LINEはお互いに知っているけれど、私の方は会社を辞めるタイミングで消してしまった。

「LINEが来ないということは、脈なしなのかなあ」とも思うけれど、でも、肌感で、出会ってから、私が会社を辞める直前までは、お互いに淡い気持ちを抱いていたと思う。

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初めて会ったのは、私が大学四年生の時で、今から四年前だ。四年前に会社のカジュアルな面談ということで、初めて二人で会った。会社外で二人で会ったのは、後にも先にもこの時が最初で最後だ。

初めて会った印象は、見た目は格好良かった。私は大学では文学部で、まず男の子が少なく、会社はアパレル企業だったから、垢抜けた社会人を見て、少したじろいだ。でも、社内恋愛はしない、と決めていたから、面談の最初は、「この人は会社の人、会社の人……」と心の中でつぶやいていた。

ランチだったが、一軒目はドリンクだけ飲んで会社の話をして、二軒目はご飯屋さんに移動してプライベートな話をした。すごくよく話す人で、人見知りかつ自分からあまり話せない私には良かった。だけど、内容が、「恋愛しないと生きていけない」とか「恋愛ドラマを見てキュンキュンしている」といったものだったから、別れる時には、「なんだか俗っぽくて、薄っぺらい人だったな」という印象だった。

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最初の面談から三カ月も経たないうちに、私の内定者アルバイト先の店舗が決まった。それが、恋愛好きのあの人が店長をやっているお店だった。後で本人から聞いたが、私の配属は、「俺が呼んだ」とのこと。これは好意と受け取って良いのかなあ？

相手の印象が薄っぺらい人から、気になる人に変わったのは、同じ店舗で一緒に働いたからだ。接客業なのだが、上司であるその人の接客は天下一品だった。私が超一流の才能を持っている人が好みということもあり、急激に好きになった。

でも、私は世渡りも恋愛も、とにかく何でも不器用だから、好きな気持ちを上手く小出しに出来ずに、上司は地方に栄転していった。一緒に働いたのは、週一～二回、五カ月ほどだった。

夏に会いたい理由は、ちょっとロマンチックだ。私は夏生まれなのだが、気になっている人は、知り合ってから毎年お誕生日おめでとうメールをくれる。地方に転勤して二年も会っていない時も、私が休職している時も。　　

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相手は社交的な人だから、女の子も含めて色々な人と、お誕生日おめでとうメールをやり取りしていると思う。でも、私は友達も少なく、ましてや男の人から、それも気になっている人からメールが来るのは、あり得ないことだから、毎年すごく嬉しかった。だから、今は会社は辞めたが、今年も「お誕生日おめでとう！」って連絡来ないかなって淡い期待を抱いている。

相手が連絡をためらうのは、私の持病が関係していると思う。私は双極性障害（躁うつ病）で、会社を辞める直前に症状が悪化し、気になっている人にも、すごく迷惑をかけてしまった。現在は、療養中という名の無職だし、会ったところで未来がないとも思う。

でも、現在療養中だが、女の子の親友とは約二カ月に一回のペースで会っていて、すごく楽しい。気になっている人とも、すぐに付き合うとか、結婚するとかなしに、知り合いとして、二カ月に一回くらいご飯に行ったりできればいいなと思っている。

恋愛本に「男性を追ってはいけない」と書いてあったから、相手からの連絡を待つだけだけれど、夏の私の誕生日に向けて今からどきどきしている。