大学に合格した時、本当にたくさんの人に祝ってもらった。両親、従姉妹、親戚の方々は、おめでとうと書かれたケーキや私の大好きなご馳走、お菓子などたくさんのプレゼントをくれた。どれも嬉しかったけれど、私はひとつ、何より忘れられないプレゼントを貰った。
それは、合格発表を一緒に見た友達から貰った袋のグミだ。

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私は自己推薦で受験したため、皆より一足先に合格発表があった。合格発表の日も学校があった。12時にウェブに掲載された合格発表を見るために、昼休みに私は校門へ向かった(私の学校ではスマホが使えなかったのだ)。その時、昼食を買いに高校近くのコンビニに行くと言って、例の友達が付いてきた。そのまま私の合格発表を2人で見ることになった。
当然私は緊張していたし、不合格だったら彼女が反応に困るだろうなと心配したりした。加えて彼女は私と同じ大学の受験を控えていて、気まずい雰囲気にならないだろうかと思っていた。彼女はというと、受かってるよ!大丈夫!と全く気にしていない様子。
話しながら歩いていたら、あっという間に校門に着いてしまった。スマホを開く。合格発表のページをリロードしている間も、彼女は私にぺらぺらと話しかけていた。

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受験番号を見つけて、あった!と私が言うと、彼女は私以上に喜んでくれた。すごいよ、もう大学生じゃん。ほんとにおめでとう。私はというと、実感が湧かなかったこともあり、あまりはしゃげなかった。

合格したことで午後の授業が無くなった私は、彼女と一緒にコンビニに行くことにした。すると彼女は、お祝いさせて!と私に言った。せっかくだから何かひとつ、好きなものを奢らせてほしい、と。私はびっくりした。彼女はまだ前期試験が残っていて、こんな時期に私が合格したことを知って嫌だったのではないかと心配していたというのに。純粋に祝ってくれて、しかもお小遣いを私のために使ってくれるなんて。彼女の優しさに感動しながら私が選んだのが、袋のグミだった。

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その後訪れた、前期試験の合格発表の日。LINEが鳴って、開くと彼女からの合格報告があった。すぐに既読をつけて、思いつく限りのお祝いのメッセージを送った。どれだけ言葉を並べても彼女のグミには敵わないけれど。
大学生になってからは、学部が違うため彼女と会うことは減った。それでも時々すれ違うと満面の笑みとともに手を振ってくれる。

この話をすると、たった1袋のグミでそんなに喜ぶの、と言われることもある。でも、もし私が彼女の立場だったら、あんなに純粋に喜んであげられただろうか。お祝いさせて、なんて言えただろうか。先に合格してずるい、楽でいいな、という負の感情が心のどこかに湧いてくるに違いない。あのグミには、彼女のお祝いの気持ちだけでなくすばらしい人間性も詰まっていた。プレゼントは形だけじゃない、とはきっとこういうことだ。コンビニであの時貰ったグミを見る度に、彼女の笑顔が浮かぶ。私も、誰かのことを純粋に祝ってあげられる人になりたい。