「前髪がないと生きていけない」と言う同世代の女の子が多い。私はセンター分け、飲食のアルバイトの日は分けた前髪をさらに留めて生活している。たまにねじるようなアレンジをしたりもする。デコ出しって楽だし、笑ったときも隠れない。でも、この状態の自分が好きだということは、少し理解されにくい。

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中学校に入学した日の私は、耳を隠してはいけないという校則(誰も気にしていない)に従って、耳の後ろの髪をアメピンで留めていた。不器用すぎてアメピンが浮いているようだった。

百円ショップで買ってもたくさん入っているピンなので、夏が来ると前髪にも使うようになった。チャンスの神様みたいに前髪を掴んで、左に流してすっと留める。自分の部屋の本棚の上に黒いのが三本。まっすぐ引っ張った髪につけたけど、学校に到着して自転車のヘルメットを脱いだら少し緩んでしまう。鏡を見に行くほどでもないと、自分の手の感覚で直してから朝の会を過ごした。

二年生に進級するとたくさんのにきびがおでこにできた。朝の準備をしながら、「こうしたほうが治るよね」とかではなく、「みんなにきびができる時期だから見せても大丈夫」という気持ちでいた。合唱部の大会で前髪を留めるよう指示されても平気な顔でいたけれど、少数派だったみたいだ。

中学校生活の中盤、学校に行きづらい時期があった。ジャージ姿に整えていない髪型で、家とコンビニの間の道を歩くだけの生活。すると、みんなが帰った時間に学校に呼ばれた。

「保健室だけでもいいから来ない?」

その提案を待っていた私もいて、保健室登校を始めた。気まずい思いもしていたけれど、安定しているときは笑顔を、苦しいときは助けてほしいという顔を、前髪を留めて見せる。でもなぜか、目にかかったら切っていた。

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高校では前髪を伸ばした。ショートカットの私は、三年生になるころにはアメピンも卒業して、いわゆるセンターパートになった。少しふんわりとしたスタイルで登校する自由な学校生活を送っていた。

高校卒業後一年目の現在、私は地元でアルバイトをしている。最初に書いたように飲食系。店長から採用の連絡をもらったとき、「必要ならヘアピンとか持ってきて」と言われた。帽子を被るとはいえ、前髪が落ちてきたら面倒だな。そしてアルバイト初日、今度は前髪を両側に引っ張って留めてみた。ふんわりはしていないけれど、下を向いても視界に髪が入らない。分けているだけよりも、片側で留めるよりもずっと楽だと今さら気づいた。

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前髪が命のように大切なすべての人たちへ。私はもしかしたら、くすぐったがりのせいで前髪が苦手なのかもしれません。だから、皆さんの気持ちを完全に理解するのは難しいです。でも、私もおでこを見せることによって別の何かを隠して、ごまかしている可能性もあります。そして、アメピンのひんやりした感触にどこか守られています。心の中で盾にしているものが崩れないように、こだわったものにも惰性で決めたものにも「いいね」って言い合いましょう。

ピンは少し多くポケットに入れて持ち歩いているので、もしも必要な時があれば声をかけてくださいね。