友達の結婚式。行くか行かないか迷ったけど行かなかった。
ご祝儀3万円、ヘアセット1万円、ドレス2万円、靴1万円、カバン1万円、交通費5万円、有給消化3日。友達を祝福したい気持ちはあったけどあまりにも多い出費に、打算的な考えが勝った。
結婚式当日……わたしは、休日だった。普段は動かない、学生時代のグループLINEが動く。家でベッドに寝転がりながらグループLINEを流し見る。
◎ ◎
送られてくるのはおびただしい数の写真。白いドレスに身を包んだ美しい友達、少し大人びたその他の友達。懐かしい。写真を見ていると、わたしの個人LINEがピロンとなった 。
「⚫︎⚫︎、結婚したんだって??旦那さんの写真見せてよ」
結婚式に駆けつけた、学生時代仲が良かった子からLINEが届いていた。
実はわたしも先日、入籍していた。地元には、なかなか帰れておらず学生時代の友人とも3年ほど会えていなかった。入籍の報告も軽くLINEで済ませたのみだ。挙式の予定も無く、もう、友達と自分の結婚の話をすることは無いと思っていた。
友達からLINEがくるとも思わなかった。久しぶりに懐かしい友達からLINEがきて嬉しくなる。元気かな?仕事頑張ってるかな?いろんな思いが頭を駆け抜ける。いろんなこと話したいな。いろんなこと聞きたいな。
「結婚したよー!久しぶり!元気にしてる??」
友達に返信すると、すぐ既読の文字がついた。
「元気だよ!それより、旦那さんの写真見せてよ!⚫︎⚫︎の旦那さんの写真みたい!」
友達の近況を聞きたかったのにすぐさま旦那のことを聞かれ、残念な気持ちになる。もっとあなたの、話を聞きたかったのに、もっと、わたしの話をしたかったのに。それでも、わたしは久々のLINEを続けたくて、旦那の写真を送った。また、すぐに既読がつく。
「なんか、似てるね笑」友達からの返事。
◎ ◎
笑が少しイラついた。なんで、笑つけたの。
心に広がる疑念は、そっと仕舞う。
「そうかな?最近、仕事どう??」
わたしは、久々の友達とのLINEで、相手の話を聞きたくなった。近況を尋ねる。……先程までは、数秒で既読がつき、返事をくれたのに、30分待っても、1時間待っても1日経っても彼女からの返事は無かった。
心が痛くなった。悲しい気持ちが募り、孤独感に包まれた。友達とのグループLINEには、複数の友達が二次会で弾けている写真がたくさん上がっている。わたしにLINEの返信をくれなかったあの子も笑顔を弾けさせている。
心が締め付けられる。苦しい。1週間経っても、1か月経っても既読はつかずわたしは、その子とのトークを削除した。
後日、その子がわたしとわたしの旦那の写真を他の友達にも見せ会話のネタにしていたと聞いた。
◎ ◎
わたしは、友人としてその子とLINEしてたのにその子は、わたしを入籍という1つの会話のネタの持ち主としてしか見てなかったのかもしれないと感じ悲しくなった。
返事が来なかったのも、話のネタがわたしから得られたからだと考えると合点がいった。
だったら、旦那の写真というネタを取るつもりで、LINEしてくるなら、始めに世間話くらいしろよ。自分のことも開示しろよ。
怒りが沸々と湧いてきた。
学生時代、わたしとその子は友達だった。なんでも話せた。一緒にたくさん勉強した。
学校を卒業して、5年。会わないうちにわたしと彼女の間にはたくさんの時間が流れ、今はもう彼女にとって個人的な会話をする時間は面倒に思われるような、話のネタとしての価値しか無いのかもしれない存在になったのかと思うと悲しくなった。
それでも、まだ彼女と学生時代のような関係で話したいと感じるのはわたしの高望みなのか。過去の友達に当時のような関係性を求めるのは酷なのか。
そういえば、わたし自身も学生時代の大事な友達の結婚式を打算で欠席していた。
自分も彼女と変わらないのか。
大人になるというのは、こういうことなのかもしれないと感じた。わたしはまた、悲しくなった。