可愛いお洋服が好きだ。ロリータ服を可愛いお洋服の最高峰とするならば、ロリータ服の8段階くらい下と言えば良いだろうか。しまむらとかハニーズで売っている服でレースやフリルなどちょっとかわいい要素が入っている服が好き。

しまむらではインフルエンサーさんとのコラボ商品を出すことが多い。時々、ロリータモデルさんとコラボすることがある。その商品がどれもかわいい。カジュアルなロリータとでもいうのだろうか。普段使いしやすいデザインと良心的なお値段でとても良い。

◎          ◎ 

最近、コラボ商品でとても素敵なワンピースを見つけた。ロリータモデルさんとのコラボ商品としては珍しいネイビーのケープワンピースだ。秋冬に活躍しそうな重厚感のあるデザインでケープは取り外せてインナーで遊ぶこともできる。めっちゃ欲しい。

私はピンクと青系の色が好きで、特にネイビーにめちゃくちゃ弱い。ありがたいことに受注生産の商品なので、お店に走ったり、スマホを連打する必要がない。期限も1週間あるので安心して申し込める。

だが、結論から言うと私は申し込めなかった。すごく悩んだ。買ったとして着るのか。以前買った別のロリータモデルさんのワンピースは袖を通していない。タグすら切っておらずハンガーで壁にかけていて、タペストリー状態で部屋のインテリアと化している。

そのワンピースより着やすそうなデザインだが、重厚感のあるデザインが私では重苦しい雰囲気にしかならないのではないか。このワンピースが素敵なのはモデルさんが可愛いからじゃないか。私が着ても私ががっかりするだけじゃないのか。そして無駄遣いじゃないのかと。このワンピースをロリータ服と称していいのかわからないのだが、ロリータ服としては破格だ。でも私にはちょっと背伸びのお値段だった。

◎          ◎ 

収入なんて無いに等しい状態で服なんか買っている場合かと。そういうことを考えていたら、とてもじゃないが申し込めなかった。最後の手段として、ギリギリに申し込もうと思った。ギリギリの時間だと、「迷っている場合じゃない!」という謎のセルフ後押しができて申し込めると思ったのだ。

このワンピースの存在を知ってから頭の片隅にはいつもこのワンピースがあった。時に片隅どころか頭の中ワンピースでいっぱい状態だったのに、私は期限寸前にすっぱり忘れてしまったのだ。私は人より記憶力がいいらしい。

でもなぜか友人の誕生日や何かの申し込み開始日など、その当日になってすっぽり忘れていることが多々ある。それまでは覚えているし、むしろその日を楽しみに指折り数えていたりするので、リマインダーなど設定してはおらず、当日忘れていた時の衝撃が大きい。

◎          ◎ 

すごく落ち込んだ。それだけあのワンピースが欲しかったのだと今更ながら気づく。だが、受注販売なので再販は難しいだろう。

「こんなに落ち込むなら買えばよかったじゃん。買ってから後悔すればいいじゃん。なんで決められないの、優柔不断なの」などと自分責めが止まらない。ここに書いたのはオブラートに包んでいるが、実際はもっと汚い罵詈雑言だ。自分で招いて自分でやっていることなのだが、自分の最たる味方であるはずの自分が、自分に最も近い距離にいる自分に責められると、かなりきつい。

もうやめてくれと思った時、ふと、私は私をダメなやつだと責めたくて行動していないかと気がついた。これはある種の自傷だと。そもそもワンピースを買うかどうか悩んでる段で自分を責めている気がした。気づいたからなんだと言われたら気づいただけではあるのだが、課題や問題はそれが自分にとって課題や問題であると気づいた時点でほぼ解決したも同然と臨床心理士さんに言われたことがある。

すぐにはやめられないかもしれないけれど、気づいたことにより、私は今、自傷していると俯瞰して自分を眺められる。自傷の勢いは削がれるだろう。やがてこれが自傷に繋がりやしないかと、後悔しない行動を選べるようになるだろうか。今は小さな気づきでも、後から見たら大きな転機になっているかもしれない。