高校時代、夢にまで見た大学生活。大学生になりたいという一心で何とか生きてきた長い長いトンネルのような高校時代を経て、合格通知を手にした。

それからの1ヶ月はこれから始まる新生活にこれ以上ないほど期待を抱いていた。ああ、これから私は大学生になるんだ、新しい私になるんだ、と。3ミリどころか100メートルくらい新しい私を想像してワクワクしていた。

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でも、大学生になって少し経ち、慣れてきた頃に思ったこと。

私、何か変わった?自転車通学から電車通学になった。新しい友達ができた。バイトを始めた。帰りが遅くなった。生活の変化はたくさんあったが、私自身が新しくなったこととは?

受験が終わってから低下の一途をたどる学力。帰りが遅いことを言い訳にしていたら、習慣だった早起きもいつの間にかできなくなりつつある。まだ1年生だから専門科目の講義が少なくて、あまりモチベーションが無いまま受け流す講義。一人暮らしに奮闘している友達がたくさんいるのに、私は実家暮らしだから自炊はおろか家事も全然しない。キラキラしているどころか、ただのよくいる無気力な大学生じゃん。そう気づいて、ショックだった。せっかく頑張って大学に入ったのに、勿体ない!

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大学生としての私の小さな成長は、その時ようやく始まった。まず、目標を決めた。毎日つけている日記に、今年の目標と今月の目標を書くようにした。今年の目標は、友達をたくさん作ることと単位をできるだけ取ることにした。今月の目標は、月のメインイベントに合わせて立てている。目標を立てる時は小学生が新学期に目標を立てる時みたいでワクワクするし、毎日見るところに書くので忘れない。

いくつかマイルールを決めた。大学にある英会話のコミュニティに最低でも週3回参加することにした。英語力を落としたくないという理由で始めたが、留学生の方々と話すことが楽しくて案外楽しく続けられている。単語力の不足を思い知らさられたので、単語帳を意識して開くきっかけにもなった。

また、希望のコースに進むには今のうちから良い成績を取らなければいけないことを思い出し、専門以外の講義も真面目に受ける覚悟を決めた。どうしても苦手なものもあるが、ちゃんと聞けば意外と面白い科目もあった。専門科目を学ぶ機会を自分で作り、知識欲を満たすようにしたら不満も減った。休日のご飯を母と一緒に作ったり、家事を進んでやることにしたりと、少しでも自立する努力をした。

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いつも完璧にできるわけなんてなく、目標達成に全然届かないこともある。だけど、主体的に動くことがこんなに楽しいなんて知らなかった。高校の時の与えられたことをただこなす学びとは違って、自分の目標に向かって努力することは自分を自分でいい方向に引っ張っているような気持ちになれる。

自分で考えて行動する能力を身につけたことで、少しだけ大人になった気がする。3ミリくらい、新しい私になれた気がする。