「結婚してください」
目の前にいる大好きな彼が私に向かってそう言った。これは夢なんじゃないかと本気で思った。
2022年、私は大好きな彼と結婚する予定だ。

「誰か紹介する」と友人の軽口からつながった、彼との出会い

2021年4月、コロナウイルスの影響で1年延期になってしまった地元の同級生の結婚式に参列したときのこと。久しぶりに集まる懐かしい顔ぶれの友人たちと共に、私は主役である新郎の幸せを心から祝福した。
結婚式も無事に終わり、地元のメンバーだけで小さな二次会を開いた。30代一歩手前の私達、話される話題は自然と各々の近況報告や恋愛話になった。男友達の1人が言う。
「もぴ、お前彼氏いないの?」
「いないよ、もしかしたらこのまま1人で生きていくかもしれないって思ってるよ」
「なんだよそれ(笑)。誰か紹介できそうな人がいたら紹介するわ」
「ありがと、その時はよろしくね」

当時の私は曖昧な関係に振り回されて疲れて、結婚や出産に対する憧れも歪み、大好きな人と出会って結婚する未来なんて全く夢見てはいなかった。だから軽口ではなく本気で1人で生きていくかもしれない未来も想像していて、薄給から毎月5万ほどアグレッシブに貯金したり、老後の暮らし方などを割と真剣に考えたりしていた。そんな時に男友達からの「紹介するわ」のよくある一言。私は冗談だと思って軽く返した。

そこから約1ヶ月後の5月、先月会って軽口を交わした男友達からLINEが入った。
『お疲れ!紹介したい人見つかったからその人に連絡先教えたからねー!あとはよろしく!頑張って(^^)/』
え、え、え?どういう事?私の頭がパニックになっている間にもう一通見慣れないアイコンからLINEが入った。
『はじめまして!○○から紹介してもらいました!よろしくお願いします!』
それが彼との出会いだった。

初めての食事。初対面のはずなのに、不思議と安心感に包まれた

連絡先を交換してから毎日LINEのラリーが続いた。仕事の話や趣味の話、家族の話まで会話は尽きなかった。彼が送る文面はとても丁寧でいつも私のことを気遣う内容ばかりだった。
彼からの返事を読み返したり、仕事先から送ってくれる写真に嬉しくなったり、いつの間にか彼からの連絡をとても楽しみにしている自分がいた。

LINEが1ヶ月ほど続いた後初めて食事に行くことになった。文章でのやり取りがこんなに楽しいから、もし、直接会って幻滅されたらどうしよう……と、私は正直食事が決まってから当日を迎えるまで憂鬱と不安に押しつぶされそうになっていた。

約束の日当日。お気に入りの白いスカートを履いて、パールのイヤリングを付けて、自分が出来る限りのおしゃれをして待ち合わせ場所へ向かった。
約束の時刻より15分も前なのに待ち合わせ場所に向かうと彼らしき男性が立っていた。
「はじめまして!もぴさんですか?」
少し緊張した様子の彼に話しかけられたとき、初対面のはずなのに不思議と安心感に包まれた。私も緊張しているはずなのになぜかほっと落ち着いてしまった。

初めての食事も私の心配は杞憂で、時間があっという間に過ぎてしまうくらい楽しかった。そしてLINEのやり取りも途切れることなく続き、2回目の食事の後に告白されて彼と交際することになった。

300円の結婚情報誌。幸せでめちゃくちゃ重たい

そんな彼と交際を始めて今月で半年が経った。
先月、冒頭のセリフを彼から言われて私は頭が真っ白になった。でも自然と口は動いていて、気づいたら「よろしくお願いします」と私も返答していた。彼は号泣してくれて、そんな彼が嬉しくて愛しくて、つられて私も泣いてしまった。
交際期間は半年とまだ少ししか一緒に時を過ごしていないけれど、不思議とずっと前から一緒に過ごしているような気がするのは気のせいだろうか。
今月の初めには彼の実家にお邪魔して一緒に食事をした。まだ正式に結婚の挨拶をしに行ったわけではなかったけれど、彼のご両親は温かく出迎えてくれた。緊張したけど、受け入れてくれたことがとても嬉しかった。

まだ2人の間で結婚する、ということは決まったけれど、それ以外のことは決まっていない。お互いの両親に正式な挨拶もまだちゃんと出来ていないし、いつ入籍するのか?苗字はどうするのか?2人でどこに住むのか?なんてことももちろん決まっていない。

最近、付録がかわいいからという名目で初めて結婚情報誌を購入した。レジに持って行くとき少しだけドキドキした。300円で買える幸せはめちゃくちゃ重たい。
2人でパラパラとページを捲りながら、
「へー、こんなことも決めないといけないのかぁ」
「家計管理はもぴちゃんにお願いするね」
「2人でコツコツお金も貯めていかなきゃだね」
なんてやり取りを交わした。

1年前の私に言ってあげたい。
「きちんと現実に目を向けて自分で自分のことを大切にしたら、自分のことを大切にしてくれる大好きな人と巡り合えるよ」と。

そして彼へ。
いつも飲み会の帰りに迎えに来てくれてありがとう。私のことを心配して全力で走ってくれてありがとう。「大好きだよ」と「ありがとう」をたくさんありがとう。いつも照れくさくてなかなか「大好き」が言えないから今年はたくさん伝えるね。

まだ何も決まっていない私たちだけど2人の意志だけはきっと固いと思う。
2022年は2人で手を取り合って、嬉しいときも辛いときも笑って生きていきたい。
そのために私は、あなたと結婚したい。