私は、大学3年の春から所属したゼミでハラスメントを受けた。膨大な量の課題を短期間でこなすように求める、明け方近くまで課題に取り組ませようとする、他の学生の前で特定の学生を貶す、気に食わない学生の指導を放棄する、意見を出させて却下するなど。ゼミという教授と学生のみの空間で行われたそれは、心理的虐待だった。

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大学3年の冬、私はうつ病になった。ゼミのストレスが主な原因だった。それでも「卒業までの我慢だ」と言い聞かせて次の春を迎えた。4年生になり、卒業論文の執筆という個人作業になったことで、教授による個人への攻撃はエスカレートした。耐えかねた私はゼミ生のグループLINEにこう投稿した。「卒業論文を提出して、卒業が確定したタイミングで教授を訴えようと思う」。他の学生からは「私も教授の言動はおかしいと思ってた!」などの声が寄せられた。

大学4年の秋、2人の学生がゼミを去った。ハラスメントが理由だった。そして、私もゼミを離れた。我慢の限界だった。卒業論文の締め切りが迫る中でうつ病が悪化し、半年間休学することになった。悔しかった。学びたくて入った大学で受けたハラスメントのせいで学びたくても学べない状態になるなんて。

休学期間中、私は大学のハラスメントセンターに足繁く通った。ゼミ生へのヒアリングが行われ、結果をまとめた紙を見せられた。教授がハラスメントを行っていたことは明白だった。しかし、教授への処罰は特になく、卒業間際のゼミ生に謝罪文という名のA4の紙1枚が送られてきただけだった。他の大学でのハラスメントの事例とそれに対する処罰と比較し、とても腹が立った。ハラスメントセンターには行かずにSNSで告発するべきだったのだろうか。それではハラスメントセンターは何のために設けられているのだろうか。

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その後、私は別の教授の指導のもと卒業論文を書き上げ、半年遅れで大学を卒業した。内定先には卒業まで待ってもらっていたが、週5日フルタイムで働くことは難しいとなり内定を辞退することになった。それからはアルバイトを続けている。同い年の人に「社会人2年目です」と自己紹介されるたび、胸がキュッとなる。

大学3年の夏、ゼミのOBと現役ゼミ生で話す機会があった。そこである現役生が「このゼミが今までの人生で1番辛くて悩んでて…」と打ち明けた。するとOBは「先生厳しいからね、うちの同期で卒論指導のときに泣いてる人いたし」と笑っていた。何笑ってんだよと思った。あなたたちが教授のおかしさに気づきながらも放置したせいで、私たちまで苦しむ羽目になったんだぞ。

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私は自分と同じような想いを誰にもしてほしくない。だから、教授を訴えた。大学のハラスメントセンターや所属していた学部などの対応には今も納得できていない部分がある。それでも、私は「二度と私と同じような学生を出さないでください」と訴え続けてきた。私の声が未来をつくると信じて動いてきた。今後、もし私の出身大学で教授から学生に対するハラスメントが起きたとしたら私は許さない。