わたしは小学生以来、海外に行っていない。兄弟が何度か留学に行っていたことから、わたしも当たり前に留学に行くよう言われていたし、わたしも行くつもりではあった。

しかし、ホームステイは当たりハズレがあるため、ホテルか寮に滞在するつもりで、長くても2週間くらいの語学留学に行きたいと思っていた。留学の費用も両親が出してくれる予定ではあったが、もちろん留学に行くということは、大金がかかることだとわかっていた。

また、なにせ、小学生から長時間の飛行機も外国も経験がなく、ブランクがあったため、一度留学の前に家族と旅行で、海外を訪れておきたいと思っていた。

そんなことを思っていると、単身で短期間の留学に行かなくても、家族と楽しく海外旅行に行けば良いのではないか、という甘ったれた考えも浮上してきた。

そして、小学生のときに取得したパスポートは有効期限が切れてしまっていた。未成年のときに、有効期限が5年間のパスポート取るよりも、成人してから10年間の有効期限のものを取りに行こうと思って、留学を先延ばしにしていた(友人には「2回申請すれば良くない?」と言われたことがあったが、まさにその通りだと今は痛感している)。

そうこうしているうちに、コロナ禍になってしまいそのまま学生生活を終えてしまったので、留学に行く機会は持てなかった……。

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そんなわたしだったが、最近、北欧の旅行や暮らしに関する本を数冊読んだ。きっかけは、元IKEA社員で、スウェーデン人の夫をもつ女性が、日本とスウェーデンの子育てに対する考えが違うとInstagramで発信していたのを目にしたからだ。

日本は赤ちゃんに飲ませる哺乳瓶を毎回、きちんと殺菌・消毒したり、赤ちゃんが遊ぶときは先回りにして危険なものから遠ざけて守ったりするが、スウェーデンではそこまで敏感にはならずに、逆に耐性をつけるという子育ての考えがあるそうだ。

また、「fika(フィーカ)」という、甘いものを食べながらコーヒーを飲むという、スウェーデン人の習慣がある。企業では毎日10時頃と15時頃に、フィーカの時間を設けることが多いそうで、意識しないと何時間も座り続けてしまう日本の労働環境から考えると、大変羨ましい文化である。

そして、スウェーデン語には「Lagom(ラーゴム)」という言葉があり、直訳すると「ちょうどいい」、「ほどほど」といった意味である。たとえば、食事の量がちょうどいい場合や、天気がほどよく穏やかな時、そしてインテリアについても用いるそうだ。

このラーゴムという言葉が、わたしの生き方に合っていて、いいなと感じた。

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北欧諸国は物価が高く、半日飛行機に乗って行かなければならないため、なかなか気軽に旅行をすることは、長期休みを取得しづらい、現在勤めている会社では、なおさら難しそうだ。

まずは、手軽にIKEAでショッピングをしたり、レストランでサーモンやミートボールなどを食べたりして、北欧気分を味わいたい。