20歳になって周りみんながお酒の話題で盛り上がっている。19歳だった頃はどんな味なのか気になっていた。でも、ちゃんと飲んでなかった。

「やっぱ、女子高生だった時は違うね。ファミレスでソフトドリンク飲んで何時間も爆笑していもん。今とか友達と遊んでも飲まないと笑い話もできないわ」

一緒のバイトをしていた23歳くらいのお姉さんが言っていた。
その人は私の知らない間にバイトを辞めていたらしいが、話していたことはとても印象的で20歳になったらその言葉がより刺さった。

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10代最後の年は、20歳になるのが怖かったし、ずっとこのまま10代がいいと思っていた。お酒もタバコも無縁だった私にとって、小学校から聞いていたお酒を飲むとこんな怖いことがあるよとか、タバコでこんなに肺が黒くなるんだよという話が強く残っていた。

だから、そういうものは悪いものだと思っていた。社会に出たらお酒飲まないとやっていけないとよく聞くけれど、そういう大人にもなりたくなかった。
みんな20歳になればお酒を飲んでいて、意外とハマっているの驚いた。前まで私と同じようにもう10代終わっちゃうのかと嘆いていたのに。

お酒を初めて飲んだのは、20歳の誕生日だった。
正直、お酒の味には興味もあったし、気になっているお酒もあった。一つ上の彼が誕生日に買ってくれたサワーの缶を怖かったから一口だけ飲んだ。ちょっとだけだったからよくわからなかったけれど、これならジュースでいいなと思った。それから何度か居酒屋に行ったりしてお酒を飲むことはあったけれど、やっぱり魅力がわからないままだった。
一緒に飲みたいという彼の願いを叶えることはできるけれど、心から受け入れることができない。今までみたいにご飯食べて笑っているだけで私は満足なのに。あのお姉さんの言葉を思い出す。

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そもそも、ジュースもあまり飲まないタイプだからお酒も飲まない。でも20歳になったら居酒屋ばかり目につく。このままだと、何をするにもお酒が当たり前になりそうで嫌だ。

今は、居酒屋行くのはお酒飲んで色々なものを忘れて楽しもうという会なんだから、みんなお酒飲むよねっていう圧を感じる。お金をかけてまでお酒を飲むなら、ウーロン茶飲んでご飯を楽しむ方が私には合っている気がする。

空気読めないだろうが関係ないという強い意志を持ちたい。

今までは、お酒を飲まないでもなんとかやっていけたのにどうしてお酒の力を貸してもらおうとするのか。好きだったお菓子はいつか食べなくなってしまうのか。
30代になった自分を想像する。子育てをすることはないと思っているから、きっとどこかの企業に入って働いているはずだ。疲れて買い物をする時、その手には何を持っているのだろう。

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20歳になったけれど、子供みたいに生きたい。
お酒を飲むことで何かを解決するより、ソフトドリンクで何時間も爆笑できていたい。
あの時、少し悲観的に話していたお姉さんの10代はとても楽しいものだったに違いない。みんなどこかで子供の頃の楽しかった日々を羨ましく思っているのだ。それなら、ずっと子供みたいな楽しみ方をしてもいいんじゃないかと思う。

子供心は弱いものではないと思うから、小さい時に好きだったものをスーパーで見つけては食べていたい。たった30円で笑えたらどれだけ幸せだろう。
大人になるのはいいお酒を買えるようになるのじゃなくて、駄菓子コーナーで好きな駄菓子を大人買いできるようになってからだ。
20代は子供心を持って過ごしたい。これからも安上がりで楽しい人生を送るために。