付き合って約4年、21歳になる私は彼氏と別れようとしていた。詳しくは別のエッセイでも書いたから、今回はその後の展開について書きたい。
以前のエッセイで私はデリカシーのなさに痺れを切らして別れたと書いた。それを書いたのは、別れ話をしたその日だった。このエッセイはその翌日の話である。
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別れを切り出した私に彼は、やっぱり別れたくないと言った。そして、私にまだ自分のことが好きかと聞いた。私は、「今までと同じように好きだよ」と答えた。でも、分かり合えなくて虚しいと思うことは増えたし、どこまで彼との価値観の違いを受け入れていいものかは私には分からなかった。今はそれで良くても、これから勉強が大変になり、就職も控えている。今より悩むことも苦しい思いをしながらそれでもやらなければならないということはたくさん起こるだろう。その時に、恋人に相談できない、しても何に苦しんでいるのか分かってもらえないというのは私にとってあまりに苦しいことに思えてならなかった。
彼は鋼のメンタルを持っているように私には見えた。ストレスを抱えることも何かに悩むこともない。何かの壁にぶつかったら周りの人はどうかとか余計なことは無視して自分がどうしたいのかを考えたらすぐに答えは出るのだと言った。それができれば楽だろうというのは私にも分かっている。それができない時に私は悩むし苦しくなるのだ。でも、彼にはそれが分からないようだった。事実、彼が強くて私の悩みを理解できないかどうかは関係ない。私がどう感じ取ったかが大切だった。
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それに、自分達は付き合って4年で20歳も超えた。ただの恋人気分ではいられないのではないか。そう言うと彼もそれには同意した。初めて結婚について、私達の将来についての話が出た。それが別れ話を皮切りにとはなんとも皮肉なことだ。
彼が言った。付き合い続けるなら将来のことは考えないといけない。でも、好きだけで乗り越えられる壁じゃない。確かに、私達は卒業するまであと3年はあるし、その後就職場所をどこにするのかという問題もある。障壁は多い。
でも、それならば彼はつまり、遅かれ早かれ別れなければならないが、今はまだ私のことが好きだから別れたくないと言っているのだろうか。好きだけではだめだと自分で言っているのに。
彼がもし、高い壁も全て超えられるよう努力すると言ってくれれば、覚悟を決めてくれれば、もう少し私の心は違ったのかもしれない。私をちゃんと愛してくれているのは伝わるから。友達の多くない私にとって、少なくとも1人は私を心から愛してくれる人がいるというのはこの上ない安心感をもたらしてくれるから。赤の他人と完璧に分かり合えるなんてことはないのだからと、彼の気になっていた部分も話し合いながら少しは歩み寄れたかもしれない。
彼に別れたい理由を伝えた時、それに対する彼の話を聞いて理解できた部分もあったし、自分に非があると思ったことに対しては素直に謝ってもくれた。でも、遅かれ早かれと思いながら引き止めるのは、あまりに子どもではないか。彼は現実逃避をしているだけだ。
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まだ、私達の結論は出ていない。ここでどう私達は覚悟を決めるのか。彼は結婚を見据える覚悟か、私を手放す覚悟を。私は彼で埋まらない虚しさに向き合う覚悟か、自分を愛してくれる人を捨てる覚悟を。
きちんと考えて、次に会った時にもう一度話し合いたいと思っている。