「どんどん新しい技術が開発されて、すごいなぁ」と思うものがたくさんある。スマホの機能とか、AI関係とか。数年前の私には想像も出来なかったようなことが、次々と実現されている。
一方で、「もう令和6年だというのに、どうして解決しないんだ……」と感じることもある。私が特に思うのは、皮膚病に関することだ。

私はアトピー性皮膚炎を患っている。
小さい頃から皮膚は弱かったけど、大学生の頃からさらに悪化して、今に至る。皮膚科にも5年以上通っているのに、完治の道は見えてこない。

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症状にも波があって、酷いときもあれば落ち着いているときもある。
荒れているときはもう、大変だ。患部は赤茶くてベタベタ。痒いを通り越して痛いになってくる。薬を飲もうが塗ろうが収まらない。

もう今後一生戻らなくてもいいから、痛覚よ消えてくれ、と本気で願う。他のことなんて何も考えられない。痒みがなくなってくれれば、他はどうなってもいい……とすら思えてくる。

では症状が落ち着けば心穏やかでいられるのかというと、そうはいかない。
まず、落ち着いてきたからといって全く痒くなくなるわけではないのだ。100あった痒さが60程度になった、というのだけなので、掻きたくはなる。
「痒い!」以外のことを考える余裕が多少出てくるのだが、そうなった私の視界に入るのは、掻き跡だらけの自分の身体だ。茶色かったり、少し紫がかっていたり。なんにせよ、決して美しいものではない。
痒みがピークだったときは「他はどうなってもいい」なんて思っていたくせに、いざ落ち着くと醜い皮膚に心が沈む。浴室で鏡に全身を写して見ると、最悪だ。普段服で隠れている部位の汚さに絶望する。

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しかし、私なんてまだ恵まれている。
だって、服装自由の職場で働く社会人だから。見せたくない部分を隠せたり、通気性の良い服を選択できる。脚の症状が悪化していればロングスカートを履けば良い。腕が酷ければカーディガンを羽織れば良い。

もっと大変なのは、服装を制限される立場の人たちだ。
例えば、学生さんたち。特に女の子の制服は、ほとんどがスカートだ。ふくらはぎや膝裏の肌が荒れたとしても、隠すことが出来ない。ただでさえ外見に執着してしまいがちな年代なのに、かわいそうだ。かといって、患部にハイソックスがぴったりと密着するのも、私は耐えられない。余計に痒くなってきてしまう。
そして、多くの学生はあまり金銭的余裕がないはずだ。社会人の私は、肌着を綿100パーセントのもので統一したり、保湿成分が含まれた入浴剤や低刺激の洗剤を選ぶことが出来る。それらを買い揃えてくれる親御さんばかりなら良いが、そうもいかないだろう。
アトピーを抱えているだけでも辛いのに、さらに制限を課されるなんて。考えるだけで悲しくなる。

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せめて、10年くらい経った未来では、このような苦しみが世の中からなくなっていればいい。完全にゼロにならなくとも、今よりは軽くなっていてほしい。
罪の無い子たちが、理不尽な疾患から解放されていますように。医療の発達を願うばかりだ。