日々尊敬してる好きなアーティストの歌詞に、好きなことだけでは、世界は回らない。それだけでは世界は滅亡してしまうというメッセージの歌詞がある。だから私は重い重いリュックサックを担いで今日も学校に向かう。

教室のドアを開けるといつも通りの冷たい空気。私専属のモラハラ常習犯の姿。あなたのことなんて誰も相手にもしていませんよ、と言わんばかりのクラスメイト。私は世界で唯一の味方である大好きな彼の手を掴んで言った。「ごめん、今日はもう無理かも」中学の頃から何度も経験している、早起きして教室まで来たのにそこで脱落し諦めて帰るっていうのを、今日もしてしまった。二十歳にもなってまだこんなことをしているなんて、私って本当にどうしようもない。

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小学校六年生になって学校を休みがちになった。その頃から私は言い知れない孤独に苛まれては、早く消えてしまいたいと思っていた。その頃くらいからもう何もうまくいかなくなった。期待して裏切られることも倍以上増えた。

それでも学校に行きたい。友達を作って放課後に遊んだり、一緒に勉強会をしたり、そういう居場所が欲しかった。そのために、高校だって何度失敗してリタイアしても新しく入って、その度に気持ちを立て直して必死に向き合った。次へ次へと自分を駆り立てる何かについていけば、前に進めているような気分になったし、何か得られるかも、何者かにもなれるかもと思ったから。そうやって努力していたつもりだったのにな。

専門学生の今、中学の頃と同じことをしてる。私って何も成長していないのかな。何も得られていない、何者にもなれていないじゃん。こんな悲しくて虚しい気持ち、何度も経験してるのに慣れないな。もう、このまま何も変わらないんじゃないかって思ったら、なんか全てどうでも良くなっちゃって、彼に連絡して、部屋の隅で泣き喚いた。

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気づいたら病院のベッドで横になっていた。世の中にはもっと重症の人がいて、私なんか病院へ行くほど大変じゃないのに。自分の気合いが足りないだけだから、自分さえ頑張れば全部やれるのに。「花風邪ちゃんは何も悪くないよ」「もう頑張るのも考えるのも、やめていいんだよ」って彼から連絡が来てた。いや、私はまだまだやらないと。私はまだ全然何もやれてないんだから。

彼から電話が来た。

「花風邪ちゃんはもう十分頑張ってるからこれ以上生き急がないで。お願い。生きるのに精一杯なんだから、今はそれ以外頑張らないで。もう自分のこと解放していいんだよ」
彼の涙ぐんだ声を聞いて、私も泣いた。
「でも私、今までずっと頑張ってきたつもりだけど、何も得られなかったよ。何も達成できなかった」
「いいの。花風邪ちゃんは花風邪ちゃんでいてくれるだけで、大事な大事な花風邪ちゃんなんだよ。何か達成しようなんて思わなくていい。花風邪ちゃん、そう思ったらすぐ無理しちゃうんだから」

その場にいないはずの彼に、しっかりと抱きしめられた気がした。

「何も頑張ってなくても、花風邪ちゃんはかわいいよ。素敵だよ。焦っちゃったんだよね、辛かったよね。今日からは一旦休憩していいんだよ」

息が苦しくなるほど泣いた。彼がここにいたら、涙と鼻水で彼の服を汚してしまったかもしれない。でも心は何かを手放したように楽になった。やっと、私はもう歩みを止めていいんだって気づいた。

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今日からしばらく何もしない。勉強も運動も、面倒なことは一つもしない。そして「今は好きなことだけでいいです。やるべきことは全人類に任せて私は一旦休憩です」って替え歌を歌って、私は今から昼寝をする。頑張ることを、歩くことを、やめたんだ。