中学生のころに、推しに会えるイベントがあるということで意気込んで応募すると、奇跡的に当選したのです!当時は、推しが関西にくるということだけでもかなり珍しかった。今でこそ、全国各地のイベントやライブに参戦できているが、中学生のときは、なかなか親が遠征を許してくれなかったので、地元でのイベントは本当に貴重だった。
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そのイベントは、トークショーの後に推しが写っている事前にサインをしたブロマイドに、わたしの名前を目の前で話しながら書いてくれるという、なんとも豪華なイベントだった!!まさか、推しと話せると思っていなくて、その場でとっさに質問を考えた。その質問が「東京でお勧めのスポットはありますか?」というものだった。そんな突拍子もない質問にも関わらず、推しは特に長考するでもなく、笑顔で「下北沢」と教えてくれた。そのときは聞いたことがなかった地名に、ワクワク感を抑えられなかった。中学生のときは東京に行くことはあっても、なかなか下北沢を訪れることはできなかったのだが、古着が有名な街だということはわかっていた。大学生になり初めて下北沢を訪れることができたのだが、一日いれたわけではなかったため、ローファーを購入したり、少し街を散策して、下北沢駅を後にしたのだが、なにせ推しに勧められた街だったので、すべてが輝いて見えた。
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それから数年の時を経て、下北沢が再開発をしたことや古き良きシモキタらしさ(ライブハウスや古着屋さん、カレー屋さん)を残しつつ、駅直結の新しい商業施設もオープンさせて、その再開発が成功したとネットで見て、生まれ変わった下北沢に、また行ってみたいと思った。カフェがたくさんあることでも有名だと知ったのは、上京してからだった。大阪からカフェ巡りが好きな後輩が遊びに来るときに、下北沢を案内することにした。元カレとのデートでも、下北沢でカレーを食べてカフェにも行った。それでも、まだまだ行きたいお店は山ほどある。それくらい下北沢が好きだ。
今から10年くらい前に下北沢をお勧めしてくれた推しは、なかなか先見の明があったんだなぁと感心させられる。駅前の商業施設はいつ行っても長蛇の列で、まだ行けていないのでいつかまたリベンジしたい。駅から遠かったり、入り組んでいる道でたどり着くのが難しいお店でも、めちゃくちゃお客さんが並んでいるからビックリする。カフェもお店がこぢんまりしている小さめのお店が多くて、駅前の映画館に併設されたカフェしか行けていない……。
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今考えると、この界隈のイベントで推しに目の前でサインをしてもらえて、質問ができるなんてかなりレアなケースであった。お渡し会や握手会は滅多に開催されないが、そのときもだいたい1人あたり8秒くらいしか時間が与えられず、「はがし」のスタッフに肩をポンポンと叩かれる。もちろん、事前に注意事項として「○○をやってください」や質問などはNGだと言われるイベントがほぼほぼである。最初で最後の推しに質問ができる機会に、下北沢をお勧めしてもらえたことは、これから先もずっと忘れないだろう。