暑い夏が終わり、強い日差しも和らぎほっとするのもつかの間、秋は物悲しい気分になる。
この次に待ち受けているのは寂しい冬だからだ。人肌が恋しくなるのに、誰かと冬を過ごすことが叶わないのかと既に後ろ向きになりかけている。

冬になると誕生日が来てまた1つ年を取る。
そしてきらびやかなクリスマスもやってくる。このまま行くと1人で過ごすであろう誕生日や、誰かと過ごすとしても家族になりそうなクリスマスのことを思うと頭が痛くなる。
日照時間の減少や季節の変わり目、台風などによる気圧の変化によってメンタルも下がると言われているが、冬に全く楽しみなイベントがない私にとって、これから迫りくる空虚の日々を待つ時間として、秋が耐えがたい。

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秋といえばスポーツの秋、読書の秋、食欲の秋、芸術の秋だ。
社会人になってからは秋とスポーツの関係性はなかなか感じられなくなった。接点といえば会社の人が子供の運動会の応援に行くと言っていることぐらいだろうか。
読書は年中している。

食といえば期間限定の秋スイーツを食べるのも楽しい。さつまいもやかぼちゃのスイーツが出て嬉しい。去年はかぼちゃのチーズケーキを作ることに挑戦してみて、かなり満足のいく出来になった。

芸術の秋には少し苦い思い出がある。2年前の秋に美術館でデートをした。
相手がよく美術館に行くと言う人で、私もアートに興味を持ち始めた時期であったので、ちょうどやっていた展示に行った。
都会の真ん中の美術館であるのに展示室は静かで、当たり前だがお喋りをする雰囲気ではなかった。展示室と展示室を移動する間でしか話すことが難しかった。
また各々の見るペースが違うとはぐれてしまうし、並んで作品を見ていたはずの2人の間に見知らぬ人が入ってしまうこともあった。
作品を見るだけでなく相手のペースを読むことは、美術館初心者の私にはとてもハードルが高かった。

展示を見終わった後、私は美術館に併設されているショップを見るのを楽しみにしていたのだが、相手はあまり興味がなかったようで、時間をかけてしまって気まずい思いをした。
それからは美術館デートにくり出す勇気がない。

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美術館デートの苦い思い出を置いておいても、そんなに毎年秋が嫌で楽しみじゃなかったものかと写真フォルダを見返してみた

するとここ最近は、毎年10月か11月は旅行に行っていることがわかった。
コロナ前は有休を使って海外旅行に行ったこともある。これまで長期休み以外でなかなか海外旅行することはなかったので、有休を使うということや、まだそこまで寒くないヨーロッパを楽しめるということで、とてもワクワクしていた。
いざ旅行に行くと、当初のわくわくを上回る出来事があった。紅葉が美しいのは日本だけだと思っていたが、ヨーロッパでも紅葉が楽しめてとても良い時期に旅行ができた。

今年は秋に旅行を入れていないので、寂しい気持ちが増大してるのではないかと思うに至った。例年のことを考えてみると、かなり前から旅の計画を立てて旅に臨んでいたので、今年の旅の計画を立てるのは難しいかもしれない。

今年は今からでも行ける距離の場所か、日帰り旅行に誰かを誘って行きたいなと思う。
願わくば美術館デートの思い出を上書きできるぐらい秋は楽しいと言える思い出を作りたい。