「寂しい」
その一言には色んな種類があると私は思う。
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悲しい意味でのお別れなどの「寂しい」。
寂しいと感じるけれど、なぜか嬉しいような「寂しい」。
このテーマを見たとき、そんないくつかの「寂しい」が浮かんだ。
そして、私がいつも寂しいと感じる瞬間の1つに「楽しく過ごしたあと」のシーンが思い浮かぶ。
きっと皆そうだと思うけれど、友人や家族、恋人と過ごし、「さよなら」のあと……。
それまでのワイワイと騒いだ雰囲気や、たくさん笑った瞬間や話題を思い出して、また1人で笑いそうになり、ふと我に返って寂しく思う。
でも1つ思うのはそれは、悲しい気持ちの「寂しい」ではないこと。
一緒にいて楽しい人と笑い、話して得た楽しい時間のあとの寂しい気持ち。
それは、その時間を過ごしたから得られるものだと思うから。
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つい先日、半年ぶりに1人の友人に会うことができた。
半年なのに、多くの話があり、会っている時間はほとんどずっと話していた。
高校時代の時ぶりにカラオケで6時間程を過ごし、その後居酒屋に行って2人でお酒を飲んだ。
恋愛や仕事の話。
高校のときは、くだらないことで笑っていた私達も社会人として仕事をして、働いているんだと感じた瞬間だった。
また、彼女の仕事の話を聞いて、立派に働く彼女を尊敬すると同時に少し寂しさも感じた。
リーダーとして仕事する彼女が少し遠く感じた。
でも嬉しかった。
そんな彼女も会えば一瞬で高校のときのように戻れたようで……。
これは嬉しい寂しさだった。
あの時よりも2人とも成長していたから、それがわかったことで自分ももっと頑張ろうと思えたから。
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その後夜になり、「さよならの時間」になった。
大人になって成長しても思うのは、このさよならの時間が少し辛いこと。
今まで同じ方向に帰っていた彼女は、別の電車で彼女の暮らす場所に帰る。
当たり前だと思っていたその帰り道は、当たり前ではなかったことに気づいた瞬間だった。
電車の時間もあり、その後すぐにホームで別れた。
その後1人で電車に乗っているとき……。
ふと今日一日のことを思い出した。
しょうもないことで爆笑した瞬間。2人で感動したとき。同じ話題で盛り上がったとき。
いくつもの楽しかったその場面が蘇ってきた。
そして、少し「寂しさ」を感じた。
楽しい時間から、1人になったことの寂しさか。
それとも、昔みたいに毎日会って話せないことへの寂しさか。
どのことに対しての寂しさかはわからない。
それでも1つ言えること。
それは、泣きたくなるような悲しい「寂しさ」ではないこと。
楽しい時間を過ごし、話をたくさんし、成長した自分たちの話題で盛り上がった瞬間の余韻を感じて、またクスッと笑ってしまうような寂しさであること。
それは楽しい時間を過ごしたから得られるもの。
また1つ幸せな思い出ができたから。
その幸せの後に残る「寂しさ」だから。
でも、その時間があったからまた明日から頑張ろうと思える。
自分の今の時間を有意義に使おうと思う。
そんな風に前を向かせてくれるそんな時間だから……。
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だから、悲しい「寂しい」ではない。
むしろ前を向かせ、明日の気持ちを振るい立たせてくれるようなそんな気持ちであると思うから。
この瞬間に感じる「寂しさ」は私の明日からのエネルギーになると思う。