思えばずっと寂しさを感じて生きてきた気がする。
昔から人の輪の中に入るのが苦手で、友達がなかなかできなかった。私の孤独は高校時代さらに深まった。学年トップで入学した私は、周囲から優等生扱いされて、一歩距離を置かれた。実際の私は勉強がちょっとできるだけの、ドジで不器用な人間だったのに。私を理解して、等身大の私を好きになってくれる人などいなかった。そのことが、どうしようもなく寂しかった。
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寂しさを感じなくなったのは、いつからだっただろうか。社会人になってから、気づいたら一人でどこへ行っても平気になった。一人カラオケ、一人ショッピング、一人映画、一人焼肉。カップルがいようとファミリーがいようとお構いなし。寂しさを紛らわすために一人が平気なふりをしていたら、いつしか一人が好きになっていた。
家族や友達と過ごす時間はもちろん楽しいが、一人の時間も必要。そんな人間になってから、特にカフェが好きになった。本とノートとペンを持ち、ふらりと初めてのカフェに入る。お気に入りの一冊をひたすら読みふける。あるいは、その時の悩みやふと思いついたことをノートに書き綴る。その延長で自分でもエッセイを書くようになってからは、一人時間がもっと楽しくなった。
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一人で過ごすことに慣れると、案外楽しい。好きな時に好きなところへに行ける。好きなものを食べて、飲んで、好きなことができる。
例えば私は一人で推しのライブに行く。が、ライブの前に秋葉原に寄り、メイドカフェに入る。メイドさん以外と喋ることもなく読書をしてまったりし、時間が来たらライブ会場に向かう。一人で推しを堪能した後は夜の部までの間にふらりと喫茶店に入り、また読書。爆食いしたい気分なら追加でケーキを注文する。店員さんに「この人どれだけ食べるの?」と思われても関係ない。多分二度と会うことのない人だ。そして夜の部もたっぷり推しのパワーを浴びて、動画を見ながら電車で帰路へ着く。お腹が空いたら駅中の立ち食い蕎麦屋に立ち寄る。こんな過ごし方、一人じゃないとできない。
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そんな私だが、最近は寂しさを思い出してしまった。去年彼氏ができて、半年前から同棲を始めたのだ。
彼との生活は毎日満たされている。二人分のご飯を作り、二人で食べる。二人で同じテレビを見る。二人で協力して家事をする。二人で同じ布団に入って眠りにつく。何気ない毎日が突然色付き、輝き始めた。
だからこそ、彼のいない休日は寂しい。私には私の、彼には彼の友達がいる。彼だって友達と遊びに行くことだってある。そんな時は笑顔で見送るものの、玄関の扉が閉まった瞬間、寂しさが押し寄せる。彼が夜勤の時もそうだ。彼がいない休日、彼がいない夜は寂しい。
だがそんな寂しさすら愛おしい。彼と出会わなければ知らなかった寂しさだからだ。
一人は楽で、痛みはない。それでも私は、誰かといることで得られる幸せを知ってしまった。一人を楽しみ尽くした私だからこそ、これからは二人の幸せを選びたい。たとえ寂しさが伴うとしても。