私には、大切な親友がいる。親友Kちゃんとの出会いは、地元の小学校。活発で無邪気で自分に正直な彼女は、クラスの人気者だった。一方、私はというと人見知りで大人しく、自分の机で静かに本を読んでいるような子だった。決して関わることはないと思っていたけれど、気づいたら仲良くなっていた。
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中学校では、一緒にソフトテニス部へ入部した。Kちゃんは最初、他の部活を考えていたようだった。でも、私が入部すると言ったら、Kちゃんは「みちるちゃんがいるなら私も入る!」とすぐに決めてしまった。「そんな決め方でいいの?!」と驚いたけれど、私はKちゃんと一緒に部活をできることが嬉しかった。
陸上部の顧問から勧誘されるほどスポーツ万能だったKちゃんと、体力がなくて練習についていくのがやっとな私。力の差は歴然としていて、私たちがペアを組むことは一度もなかった。それでも、空いている時間には一緒に練習していたし、お互いが試合に出ているときは他のどの部員よりも応援に熱が入っていた。部活では嫌なこともあったけれど、Kちゃんがいてくれたから3年間頑張れたんだと思う。
「高校も一緒がいいね」と話していたけれど、残念ながら別々になってしまった。Kちゃんは指定校推薦で、制服が可愛い私立高校に入った。
私はというと、家から近いという理由だけで受験し、制服がちょっとダサい公立の進学校に合格した。会えなくても連絡はよく取り合っていて、Kちゃんは高校生活を楽しんでいるようだった。私は早く卒業したいと切実に思うほど高校が嫌だったので、Kちゃんが羨ましかった。
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会える頻度は減ってしまったけれど、数ヵ月に一度は少し離れた所にあるショッピングモールで遊んでいた。お互い寂しい気持ちは同じだったようで、大学受験シーズンになると一緒に東京へ行くことが私たちの目標になっていた。
私もとにかく地元から出たかったので、地元の大学は1校も受験しなかった。お互い無事に東京の大学へ進学することができ、時間を作っては東京の色んな場所へ遊びに行っていた。
性格も価値観も、何もかも正反対の私たち。親友になってからもう20年近く経つ。社会人になってからも月に1度は会っていて、年に1度は旅行をしている。Kちゃんは結婚していて、私はまだ独身。ドラマみたいにギクシャクして喧嘩勃発なんてことはなくて、相変わらず仲が良い。
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「何でこんなに仲良くなったんだろうね?」と、お互いが不思議に感じるほど共通点が少ない私たち。仲良くなったきっかけも、いまだに2人ともなぜか思い出せない。それでいて「おばあちゃんになったら、一緒の老人ホームに入ろうね」と、すごく先の約束をしている。
目標のために行動して夢を叶えたKちゃんと、どんなに大変でもコツコツ努力して必ず良い結果を出す私。そんな私たちなので、冗談で言っていたとしても実現してしまうのではないかと、ちょっと期待している。