頑張った日のお仕事からの帰り道や友達と別れた後に、見上げる夜空がほんの少しの寂しさを含んでいる時がある。特別大きな失敗をしたとか怒られたわけでも、友達や家族と長い別れになるわけでもないけれども、それでもふと寂しさを感じる時がある。目まぐるしい毎日、アッという間にすぎる季節を見送るような日々の中で、そんな風に寂しさを感じるときはいつだって、ほんの少し疲れがたまっていてお休みが必要な時だと信じている。
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いつも元気にちゃんとしている、それが理想だと思う。お仕事ではしっかり自分のタスクを管理して判断して上司に報告する。似合っているメイクをしてはやりの服を着て友達とカフェに行く。会社の先輩や友達はいつだってちゃんとしているように見えるから。
でも、ずっとちゃんとしている事は難しい。やっとの思いでおうちに帰れば何もせずに布団に入りたいし、予定もなくメイクをしない休日だって必要なはずだ。でも、私はずっと、そんなちゃんとしていない自分が許せなかった。学校やお仕事は決まったお休みがあるけど、ちゃんとしている自分を休むタイミングが、メイクをしなくてもよかったあの頃に戻るタイミングが分からなかった。
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そんな私がお休みをとるタイミングを知るきっかけになったのが、ふと寂しさを感じた時だった。どんなにお仕事を頑張っていても、友達といて楽しい時間を過ごしても、寂しいと感じた時、私は、自分が高校生までの時間を過ごした場所へ帰ることにしている。急に思い立っていくことが多いから、友達に会う約束をするわけでも、家族が住む家に帰るわけでもない。どうにか言葉にするなら、どちらかというと自然とか建物とかそういう過去に会いに行くのだと思う。
自然や建物は、人とは違う時間をかけてゆっくり変化していくから、私が戻りたい場所へ帰してくれる。どんなに仲がいい友達でも、部活動とかイベントで同じ目標を追っていた仲間でも、人は変わっていく。それぞれ別の業界に就職したり、結婚したり子供ができたり。そういう、それぞれのイベントの中で、少しずつ会える頻度や話す内容に差が生まれていく。それは生きていく中で仕方がないことだ。
私が、この子は変わったなと思う時には、相手だってきっとそう感じている。それぞれが相手の望むように変われないのはお互い様だ。それでも、同じ時間や思いを共有した瞬間があったからこそ、そこからの変化を感じた時、寂しくなるのだと思う。
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だから、そんな風にふと寂しさを感じた時には、私は、自然に会いに行く。そうやって、ほんの少し過去を振り返って、そこからの頑張りを思い出して、そこからまた、頑張っていく。変わってしまった友達や離れてしまった仲間もいるけれど、会社の先輩や同期、趣味の仲間、新しく出会った人達もいる。
忙しい毎日とたまに振り返って少しずつ変わっていく寂しさを感じながら、同じ時間を過ごした場所に戻りいつかまた同じ目標や話題を共有できる場所に戻れたらいいと思っている。