私はクリスマスがダイスキだ。
街を鮮やかにする光り輝くイルミネーション。
暗い押し入れから登場するもみの木を飾り付けして、華やかになるクリスマスツリー。
いつもなら、なんてこと無い街の風景、なんてこと無いもみの木なのに、クリスマスになると主役級に彩られる。
そんなクリスマスがダイスキだ。
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それから私が1番楽しみなのは、お誕生日でも何でもない日にプレゼントを貰えること。
私の家は、クリスマスに家族みんなでプレゼント交換をするというイベントがあった。
けして高価なものをあげ合うことが目的では無い。
100円ショップでも良いし、何でも良いから、家族一人一人のことを思い浮かべて渡し合うことが目的だった。
そのイベントは小学生の頃からあって、私は父、母、姉、弟それぞれに喜んでもらうプレゼントを用意することがとても楽しかった。
クリスマス=家族と過ごす日というイメージはずっとあって、20歳を過ぎてもプレゼント交換は継続していた。
さすがに今は一緒に暮らしていないから、プレゼント交換とまではいってないけどね。今でもクリスマスは家族を思い浮かべているよ。
家族みんなから貰えるプレゼント、それからサンタさんから貰えるプレゼントを楽しみにしていた私には、20歳までサンタさんが来てくれた。
20歳のクリスマスは、私が遅くまで起きていたこともあって、長年サンタさんをやり続けてくれていたサンタさんの正体を見る羽目になったのも素敵な思い出。(本当に今までありがとう)
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私には忘れられないクリスマスの思い出が他にもあるー。
ダイスキなクリスマスを心待ちにしていた小学校高学年の時の私は、『あること』で悩んでいた。
その『あること』とは、おじいちゃんが病気を治すためにずっと入院していたこと。
ダイスキなおじいちゃんに会いに、何回もお見舞いに行っていた私。私の顔を見れば嬉しそうだったけど、あんまり元気は無さそうだった。
子どもながらに、その様子を見た私は何か出来ることが無いかなと思っていた。
おじいちゃんはクリスマス前には退院出来たけど、やっぱり調子は良く無さそう。
そんな私に出来ること......。
考えに考えに考えて、ある名案が思い浮かんだ。
『私がおじいちゃんのサンタになろう!』
私の考えた計画はこう。
夜枕元にプレゼントを置くのは、近くに住んでいない私には難しい。
だから、おばあちゃんに私が買ったプレゼントを枕元に置いてもらおう!
おばあちゃんにもプレゼントを自分で渡せば2人共喜んでくれる!
私はその名案を秘密裏におばあちゃんに話して、あおいサンタ計画を立ち上げた。
「おばあちゃん、ちゃんとクリスマスにプレゼント渡してくれるかな......。忘れないかな〜」
という一抹の不安を抱えながら過ごしていた。
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そして迎えたクリスマス!!!
早朝、私は電話に起こされることになった。
私の枕もとに置いてある私へのプレゼントを開ける暇もなく、お母さんから受話器を受け取った。
その電話は、大興奮のおじいちゃんからだった。
「枕元にプレゼントが置いてあったぞ!!!」
おじいちゃんは本来のサンタの存在を信じることも無く、真っ先にあおいサンタに電話をかけてきた。
それから続けてこう言った。
「本当に嬉しい、ありがとう!」
興奮しているおじいちゃんの声には覇気があって、とても嬉しそうだった。
それからおじいちゃんは、あおいサンタがやって来たことを身内や知り合いに嬉しそうに話すようになった。
話しているおじいちゃんの様子は、とても生き生きとしていて私も嬉しかった。
リビングにあったおじいちゃんの机にはあおいサンタからの手紙が置かれて、あおいサンタから貰ったあったかい靴下を大事そうに履いていた。
おじいちゃんはそれから元気になって、またいつもの笑顔を見せてくれるようになった。
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私は、欲を言うならあの時のクリスマスに戻りたい。
今は空の上にいるおじいちゃん。
あの時のクリスマスに戻って、もう一度あの笑顔を見たい。
クリスマスは誰のためでもなく、皆んなのためにある。
それから、周りの人へ感謝を伝える日でもある。
貴方自身が誰かのためのサンタクロースになったって良いんだよ。
その誰かとは、誰だって良い。
大切な人なら、誰だってね!
恋人がサンタクロースとはよく言ったものだけど、私は別に「恋人」に限定する必要はないと思う。
一人一人が誰かと向き合えるクリスマスになれば良い。
自分と向き合うクリスマスがあったって構わないしね!
皆さん、素敵なクリスマスを!