わたしはHSP(生まれつき非常に感受性が強く敏感な気質もった人のこと)で、ひとりで静かな空間にいると落ち着くタイプである。日頃は、部屋の照明を暖色の暗めにしてテレビも置いていない。実家で誰かの話し声がしたり、テレビのニュース番組が流れていたり、常に音がある空間は好きじゃなかった。友人と遊ぶときも大勢よりも、2人きりで遊ぶことが多い。同じグループや同じ部活の友人とも別々に遊ぶから一度に会った方が効率がいいのにな、と思ってしまうこともあるし、大勢でないとできないボーリングやバーベキューに憧れている自分もいる。
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そんな特性を持ったわたしでも、幼少期のクリスマスは好きだった。祖父母や叔父叔母を家に招待して、にぎやかなクリスマスパーティを行っていたのだ。
記憶があるのは、小学生時代くらいからだが、電飾やオーナメントで飾り付けをしたクリスマスツリーも毎年出していた。ランチョンマットや食器もクリスマス仕様のものにして、シャンパンやワインも用意してかなり本格的に毎年行っていたのだった。母はオードブルやチキン、ピザ、クリスマスケーキをひとりで準備していて、今思えば本当に大変だったと思う。
ちなみに、今まで一度もサンタさんは来たことがない。その代わり、このクリスマスパーティで祖父母や叔父叔母からクリスマスプレゼントをもらっていた。そのため、両親にサンタさんが来てほしい、と言ったら祖父母や叔父叔母がサンタさんの代わりだと言われてしまったことを覚えている。
あまり裕福な家庭でなかったらしく、母もサンタさんは来たことがないそうだ。母自身がサンタさんからクリスマスプレゼントをもらった経験をしていなかったとしても、娘であるわたしに、サンタさんからクリスマスプレゼントをもらう経験をさせてくれても良かったものだ。
一方の父は、毎年サンタさんに希望のプレゼントをもらっていたらしいが……。
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サンタさんが来たことは一度もないという話をすると、みんな驚く。社会人になってからこの話をしても驚かれたのには、わたしも驚いてしまった。小学生の頃、マンションのオーナーで最上階に住んでいた友人に「家に暖炉がないから来ないんじゃない?」と言われたことがあり、当時、普通のマンションの中層部に住んでいたわたしは、いやに納得してしまった。
今年はクリスマスイブやクリスマスが平日ということもあり、クリスマスらしいことはできそうにないため、せめて冬らしいことをしたいと12月初めからずっと考えていた。冬の期間限定のグラコロを食べたことがなかったため、滅多に行かないファストフードでイートインをしてみたが、ひとりぼっちでお店で食べると虚しい気持ちが増しただけだった。日頃からなんでもない日にふらっとケーキを買ってしまうのだから、今年はわざわざクリスマスの並んでいる時期にケーキを買うのはやめておこうと思う。
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かなり気が早いが、いつかわたしにも子どもや孫ができたら、わたしがやってもらっていたようなクリスマスパーティを毎年開催してあげたいなと、ひとり静かな部屋で思った。