知らない土地を訪れることはどうしてこんなにわくわくするのだろう。
そして、友達を親友へとステップアップさせてくれる不思議な力を持っている。

私の家族は旅行するタイプではなく、遠出と言えば、お盆や年末年始の帰省くらいだった。だから、大学生になり、自分でお金を稼ぐようになってから、友人と旅行というものを経験した。

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一番大切な旅行の思い出は、大学卒業後、隣のクラスの友人と熱海に行ったことだ。春から社会人になる、それまでの時間を使って、いわゆる「卒業旅行」に行った。彼女は、時々ご飯に行ったり、一緒に課題をこなしたり、それくらいの距離感だったのだが、春から離れたところに就職が決まり、じゃあ……ということで、旅行が決まった。

行き道の新幹線、食べ歩きの道中、温泉、ベッドの上……どの時間もお互いずっとわくわくして、会話が尽きなかった。食べたいもの、行きたいところ、休憩のタイミングまで息が合い、こんなに波長が合うなんて知らなかった。普段話さないことも共有し、共感しあい、彼女が私の中で欠かせない一部になったことを感じた。

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この特別な時間のおかげで、彼女とは今、距離が離れても、それぞれの家庭があっても、いつでも会える近い存在だ。