大好きな男の子向けアニメが、好きに正直でいる大切さを教えてくれた

私は、小さい頃から人並みにやることをこなし、習い事も一生懸命に取り組む真面目な子だった。ただ、小さい頃から、唯一、あるコンプレックスを抱えていた。
それは、小さい頃から大好きなアニメだ。それも、男の子向けのアニメで、グッズも売っていないほどの人気のないものだった。
女の子向けのものを好きな女の子を見ると、「年頃の女の子だね」というような眼差しで見守ってくれることがよくある光景だ。しかし、女の子が男の子向けのアニメが好きだということに対しては、冷たい眼差しを向けられる。
実際に、私が小学生の頃、そのアニメが好きだと友達にいったら、近くで聞いていた友達が「女のくせに、男の子ものが好きなんてダサい」とひやかすようにして言ってきたことを今でも覚えている。
それきり、中学校に上がってからは「みんなと同じものを好きになろう」と必死に合わせるように、最近の別のアニメを観るようにして、友達と話す話題をなんとかつくっていた。
その好きなアニメを観なくなったのは良かったものの、その後、私は、人生がつまらなく感じるようになった。
その時だった。高校2年に上がった時期に、その好きだったアニメの映画が公開されたことから、映画を渋々1人で見に行った日だった。久しぶりに面白くて、こんなに夢中になるものだったのかと改めて感じた。
その日以降、私は、学校が終わった帰りに自転車でよく近くの書店やコンビニに寄って、そのアニメの漫画を買って家で勉強の空いた時間に読むようになった。
それだけではない。そのアニメが再放送したことから、テレビで事前に録画して貯めたアニメをまた勉強の合間に観ることが私の高校時代の唯一の楽しみだった。
加えて、その好きなアニメの曲は、私にとっては聞くと、元気が出るし、やる気も出てくる曲の歌詞だった。
だから、辛かった学校に登校する時間の前はよく聴いていた。宿題に取り組んでいる時間も、よく聴いていたので、やる気のないときも頑張れた日を昨日のことのように覚えている。
受験勉強の時も、受験で不合格が出た時も、大学に入った後に上手く上京生活になじめなかった時も、進路について考えている時も、バイトで辛い長時間労働をした後の時も、就職した先で辛くて休職した時も、この曲を聴いて元気になった。
私が、まだ5歳の時に、兄と親戚の従兄弟と一緒に観たことがきっかけだった。保育園に上がって、そのアニメがテレビであることから、毎週その曜日の夕方の時間に私の観ていた好きなアニメが観れることがその保育園に通うことの唯一の楽しみになった。
それは、小学生になっても変わらなかった。
1回そのアニメを観れなくても、また観れるようになった時期に、その頃友達とやっていたアイドルごっこを断った。
私はあの頃から潔い決断をする謙虚さがあったのかと感心したものだった。きっかけは、単純に、私がその好きなアニメに出てきたキャラクターが大好きであることから、それに見合う人になるために断ったということだ。
ここまで話したら分かるように、私は、その好きなアニメに大きく影響を受けて今も好きなことを恥ずかしいと思わなくていいのだと思った。私が好きなものは別に、男女とか年齢とかそんなことは関係ないのだと思った。
好きになったものを無理に嫌いになったり、距離を置いたりしなくてもいい。好きになることに正直になることを大切にしようと思う。
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