何一つ上手く行かなかった初一人旅で自由な瞬間を生きる私に出会えた

私が旅に行く理由はズバリ“自由になりたい”だ。
当時私は全てからの解放を切に求めていた。
社会人に成り立てで、何もかもがダメダメだった。
ストレスからの逃げ方も分からない。真面目に向き合い続け限界を迎えてしまうそんな人間だった。仕事、家族、お金。全てに囚われた人生って楽しいのかな?これは正しいのかな?なんて考えてばかりの毎日だった。
そうだ、海を見に行こう。
そんなふとした考えが頭に浮かんだ。
突然の一人旅が決まった瞬間久しぶりに自分の感情が高まっているのを感じた。
明日も仕事だというのに、最低限の支度をしてパッと家を飛び出した。
食事も無い。寝床も無い。着替えも無い。箱入り娘だった私の人生初の一人旅は無い尽くしの一泊二日の車中泊だった。
初心者マークのついた車でただ一つの場所を目指す。
すると、遠くの空で雷が鳴った。
車についている小さなテレビの知らせではどうやら台風が近づいているらしい。
やがて雨が来る、それでも構わない。海を見に行こう。強い気持ちで車を走らせ続けた。
結局、海に到着したものの夜も更け真っ暗で何も見えず……。
そんな自分のマヌケさに胸につかえていたもやもやがゆっくりと溶けていった。
車にあった小銭を握りしめてコンビニへ行く。そこで買ったおでんは温かかった。からしが心まで染みてポロリと涙が出た。
旅にでて知ることがたくさんあった。
一皮も二皮も剥けて新しい自分になれた気がした。
何一つ上手くいかなかった初旅はダメダメでカッコ悪かったけど何よりも、誰よりも自由な瞬間を生きる私に出会えた。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。