6年ぶりの再会。少し拗ねた恋人のような甘さの入り混じった温かさ

「遅かったね」
約束した場所で再会した彼女の開口一番の言葉だった。彼女の日本語は6年前より一段と流暢になっていた。
彼女の名前はセシ。2013年の夏、私たちは出会った。ホストファミリーとして我が家は彼女を迎え入れた。
彼女と過ごした2週間は、日常が特別なものになりとてもいい経験だった。それは私だけでなく、はじめは受け入れることに戸惑っていた両親や弟にとってもそうであったと思う。
最終日には「今度は私が香港に行くから待っててね」と言って涙ながらに約束を交わした。国境を越えて文通をしたり、SNSでメッセージを送り合ったり。そんな関係を続けてきた。
人生の夏休みとも言える大学生活。当時はいくらでも時間があったはずなのに、なぜだか香港に行くチャンスを作ってこなかった。そうしているうちに私はいつの間にか社会人になっていた。
社会人になると海外渡航へのハードルが高まってしまい、海外との関わりや興味はしだいに薄れていった。
そんななか、連休を利用して友人と香港へ旅行することに。「香港に行くならセシに会いたい」と真っ先に彼女が思い浮かんだ。久しぶりに連絡をした。彼女はスケジュールを調整して1日香港を案内してくれることになった。
繁華街の中心地でバスから降りた私。目の前には彼女がいた。私たちは同時に手を振った。彼女の言葉からは「6年前の約束をどれだけ待ちわびていたか」と少し拗ねた恋人のような甘さも入り混じった温かさを感じた。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。