休職を決めたときは、まったく迷わなかった。

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おなかに石が入ったようにずっしりと重たく、指の先までぐったり力が入らない感覚がした。

「あ、これは今すぐ休まないとまずい」

なんとなく体調から本能で自身の危機を感じ、すぐに会社に体調不良と病院へ行く旨を報告。

私って天才。ベッドの上で陽に当たりながら自分で自分をぼんやり褒めまくっていた。

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思えば、仕事をしているうち、なんとなく自分を見失っていたように感じていた。業務のシステムに違和感を感じていた。どんなに頑張っても、その努力が数字や成績になかなか反映されない仕組みに落ち込んでいた。チームで連携できず、個人での成績向上を強いられる環境に疲れていて、自分のペースで仕事できなくなってしまっていた。

忙しさに追われるうちに、心と体が限界に近づいていることにも気づかず、ただ前に進むことだけに必死になっていた。それでも業務成績は上がらない仕組み。アリ地獄。

求められている成績を達成し続けることは、これ以上できないと感じた。

ふとした瞬間に「このままでいいのか」と思うことが次第に多くなり、自分を大切にするにはどうすればいいのか迷子になってしまった。ぐるぐるぐるぐる。

そして冒頭に至る。まずは休んで自分の様子を見ることにし、後のことは後で考えることにした。

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休職が始まってから、まずは自由を楽しもうと溜まっていたゲームに思いっきり時間を費やした。しかし、ゲームを一通りプレイし終わると、次第に今後に対する不安も感じるようになった。

休職して一カ月経った後は「復職する」か「退職する」か。どの選択肢が自分にとって一番最善だろうか。今まであまり気にしていなかった「自分の本当の気持ち」や「どんな働き方が自分に合っているのか」をじっくり考えた。いろんな人の話を聞いたり、自己分析をして、自分の強みや大切にしたい価値観を少しずつ探っていった。

そして最終的に私が見つけたのは、ただの「働き方」ではなく、「自分がどう生きたいか」ということだった。

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これまで私は「正社員」にこだわっていた。でも、無理に一般的な社会人の「型」に合わせることよりも、自然体でいることが一番大事だということに気づいた。自分に対して腰を据えて見つめることができて、その中で自分が実はずっと前に諦めていた動画編集の仕事やライティングなどの仕事などをやりたいと思っていたことに気づいた。

一番大きかったのは、「無理をしてまで仕事を続けることが必ずしも良い結果を生むわけではない」ということ。自分が心身ともに元気でいないと、良いパフォーマンスも出せないし、周りにも優しくできない。周りの期待に応えようとするあまり、自分を犠牲にすることが多かったと気づいたのだ。

会社への未練が吹っ切れて、心が軽くなった気がした。やりたいことを追い求めていいと思えるようになった。自分のペースで、自分の価値観を大切にしながら生きていこうと決めた。

このことを教えてくれた休職期間には、心から感謝している。

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結果としては会社を退職することに決め、数年前からずっと興味を抱いていたキャリアスクールに入会。現在はキャリアスクールで勉強しながら、積極的に求人やコンペに応募したり、実績作りのための作品制作に挑んでいる。

自分の方向性や価値観が以前よりも明確になったおかげか、求人やコンペに落ちても、縁がなかっただけと捉え、「次だ!つぎーー!」と次にさくっと進めるようになった気がする。これからは心身の健康を最優先にしながら、仕事にも前向きなエネルギーを注げるような環境を作っていきたいと考えている。

休職を経て得た気づきを無駄にせず、これからに活かしていくつもりだ。