絶対に正しいことは実は少ないのかも。知らぬ間にかけていた色メガネ

近年SNSの普及により、情報を知る方法がテレビだけではなくなった。以前は国民の大半がテレビを視聴し、世界情勢や日本の政治、景気、流行など、テレビからもっとも最新で確かな情報を得てきた。でも今は、インスタ、X、YouTubeにTikTokと一般ユーザーからの情報もどんどん流れこむ時代となった。
そこで私はあることに気付いた。自分が気付かないうちに、“テレビ報道による色メガネ”をかけてしまっていたことに。テレビは私が生まれた時から身近にあり、テレビをごく当たり前に視聴する。生活の一部として溶け込み、娯楽や情報を得るための便利なものとして馴染んでいた。だからごく当たり前のように受け入れてきた。
けれど今、SNSの普及により様々な角度から情報が入ってくる。テレビの報道とは、真逆の情報だったり、目を疑いたくなるような話、信じがたい情報がバンバンと流れてくる。SNSの情報を全部鵜吞みにするつもりはないけれど、あまりにも同じような投稿の多さに真実味が帯びてくる。その情報を冷静に捉え、客観視しても、全く嘘とは思えない。そこであることに気付く。そもそもテレビの報道が絶対に正しいと思う自分の考えが間違いで、勝手な思い込みなのかもしれないと…そんな色メガネの存在にハッとした。
2020年、世界がパニックに陥ったコロナ感染。テレビからコロナ感染の危険性が報じられ、恐怖をおぼえ、マスク着用や外出制限を余儀なくした。薬がないことから、慌てて開発されたワクチン接種も促されたが、SNSからは未知なるワクチンに疑問視する声が多くあがっていた。確かに安全の保障がないまま、ワクチン接種する気持ちにはなれない。言い方は悪いがまるで人体実験のよう。見切り発車で始まるワクチン接種に戸惑った。それでもテレビからは容赦なく医療の緊迫具合、感染者の数、生々しい状況の報道が流れてくる。ただただ恐怖になり、最終的に私はワクチン接種を決意した。でも「本当にそれが正しい判断だったのだろうか?」と今でも不安は付きまとう。「テレビって本当に正しい情報を公表してるのだろうか?」とさらに疑い深くなった。
そして追い打ちをかけるように、大手芸能事務所の社長が亡くなってから、あってはならない不祥事が今になって報道された。また、その事務所に過去所属していた国民的スターの信じがたい不祥事が公表され、引退する運びとなった。なぜ今更…。
私がまだ初々しい学生時代に憧れたアイドル達が所属する大手事務所。その功績は世界からも称賛されていたため、不祥事が公表されると世界が一気にどよめいた。
引退を余儀なくされたその国民的スター。私はずっと見続け、応援してきたアイドル。その司会ぶりやトーク、演技、CMをはじめとする数々な活動に元気や勇気をもらっていた。アイドル活動だけでなく、様々なジャンルへ挑戦する原動力。節々にでる彼の思いやりや優しさ。人として尊敬もしていた。それなのに、今になって明らかになった不祥事。悲しさと悔しさで、心が痛くなる。裏切り行為のようで心がズタズタになった。“私はいったい、何を見てきたのだろう。”と、途方に暮れた。
もしかしたらその当事者達も、色メガネをかけていたのかもしれない。自分らの不祥事は報道されない、隠し通せる、応援してくれるファンは信じてくれる!という自己中心的で都合の良い解釈をする色メガネ。
勝手な思い込みや偏った考えによる色メガネは怖い。本当の真実が見えなくなるから。きっと世に中には“絶対に正しい”なんていいきれることは少ないのかもしれない。だからいつでも冷静に、クリーンな気持ちで、自分なりに真実を見抜ける目をもっていたい。それが自分自身を守ることにもなるからだ。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。