ピンクって女の子を象徴するような色だと思う。赤に近いような濃いピンクならまだしも淡いピンクには特に、優しさ、安心などなど色んな意味で、相手を攻撃しない優しい色だ。そしてそれはそのまま、女性に求めらる性質でもあるように思う。

大人になるにつれ自分がその色で癒されたり安心することはあっても、相手から、特に男性からそういう性質を求められることが私は許せなかった。

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小さい頃、可愛らしいピンク色は憧れで取り合いだった。幼稚園のお遊戯会のドレスや小学校でのマーチングバンドのカラーガード、ピンク色をあてがわれるのは、その色に似あう小柄でふわふわした可愛らしい子だった。

そして、身長もあるししっかり者だった私に振られるのは、青とか紫とか明度が低くて目立たない、地味な色だった。思えばそんな風にかわいらしい色を割り当てられることに、そしてかわいらしい色が割り当てられるあの子に憧れはあった。

しかし一歩で自分のイメージとは違うことをどこかで感じとり納得もしていた。外見や性格を色で例えることはよくあるし、別にそういう表現自体が嫌いなわけではないと思う。

今でも、自分にピンク色が似合うとは思っていない。でも、SNSや雑誌、コラムなどとにかくたくさんの人が恋愛するならピンク色を、さすがにそれは行きすぎでも淡い攻撃力の低い色が推奨されるように感じる。

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そして、それはピンク色が似合う人がモテるということであるのに加えて、そういう情報を信じて行動できる素直さ、健気さを求められているように感じてしまう私は、よっぽど可愛げがないのだろうか。

もちろん、幼稚園の頃にピンク色に選ばれていたあの子はそのままピンク色を着ているかもしれない。それは、その色が彼女に似合うからであって、従うことの意思表示ではないと信じたい。

でも、もともとピンク色が似合うわけではない私が、わざわざピンク色を選ぶのは、その色が似合うようにしたくもない努力をするのは、社会の意図や目には見えない誰かに従うことの意思表示のように感じてしまう。

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ピンク色は確かに可愛らしい色だ。そして、小さい頃はその色の可愛さに憧れた。優しくて安心できて攻撃的じゃなくて、誰にでも愛される。その憧れから身に着けたいと思ったし、そんな色が似合うあの子に憧れを抱いた。

でも、大人になるにつれて、実はすごくいろんな印象がピンク色に含まれていることを知った。そしてそれを知った時から、私にとってピンク色は憧れではなくなってしまった。

本来はピンク色ではない私を、ピンク色にしたがる社会とか男性とかの意図を感じてしまったから、私とのピンク色の、その後ろにある意図との戦いが始まった。私は私に似合う色で生きたいと思うし、好きな色を選びたい。

初めて出会う人に私の全部は分からないから、見せたところだけ、ピンク色の部分だけを見せることだってできるけど、すべてを知っている私自身が悲しむようなことはしたくないから、この戦いの終わりは見えない。