「おっ……お粥。これが、お粥だというの?」

一口食べて思わず叫んだ。シャケの切り身やら刻み海苔やら白胡麻やら野菜やらが具沢山。鶏のダシが効いていて日本のお粥と全然違う。米の甘さも引き立つ味付け。

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お粥の旨さに感動して、私は決意した。気になったものは片っ端から一気に食べるぞ。空港職員さんに「一番上手い店はどこか」と聞き、お勧めされた店に行った。

「はっ、春巻き?違うこれは……パリッパリの中華風極薄ミルフィーユじゃないか!」
「焼売うんま。小籠包、じゅっわ!」
「茉莉花の花びらゼリー?私いま、お花食べてるっ。美人になれるー!」

香港はお粥を食べるためだけでも寄る価値がある。別の国に行く予定なら是非、香港を経由しよう。空港と香港を繋ぐ直通列車からは、漢王朝時代にタイムスリップしたかと思うような、水墨画的原風景も見られた。100万ドルの夜景と称えられるビル群の麓では、朝もやの中、中華服に身を包んだ人達が太極拳を嗜んでいる。夜は宝石箱、朝はさながら仙界境。

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食べた人は皆知っている。香港と言えば倫敦大酒楼、鼎泰豊。ローカル飯も美味し。さあみんな、お粥と小籠包を食べに、香港へ行こう!